履修条件 |
最低限、民法総則と物権法を履修していること。 |
授業の目的 |
いくつかの条文の集合体を 『法制度』 などと呼ぶ。一つひとつの条文を理解する場合にも、この制度の中で理解することの必要性が指摘されている。本講義では、法制度という観点から、日・独・仏の民法典の法技術的側面を分析して、日本民法の条文を多角的に理解するための指針を獲得することを目的とする。 |
授業の概要・計画 |
法制度の第1テーゼは、「民法の条文は法制度の有機的なネットワークのなかに位置づけられる」である。第2テーゼは、「具体的な判決規範は条文と法制度との間の往復から得られる」である。講義の前半では、これらのテーゼが形作られた背景を歴史的に検討する。講義の後半では、いくつかの法制度と条文にそくして、テーゼの具体的例を検討する。 前半:法制度と条文の関係】 ヨーロッパ私法史概説/立法(Gesetzgebung)と法典編纂(Kodifikation)/プロイセン一般ラント法とフランス民法典/サヴィニーの法典論/ドイツ民法典と日本民法典/概念と定義/一般化と抽象化/法制度と条文など 後半:判決規範と条文と法制度】 意思表示に関する法制度/心裡留保/他人の事務処理に関する法制度/代理権の濫用/物権変動に関する法制度/登記名義人の被告適格/自主占有と他主占有/過失相殺
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授業の進め方 |
本講義の前半では、ヨーロッパ私法史のなかでこれらのテーゼが導かれる過程を、サヴィニー(1779〜1861)の法典論を軸にして分析する。後半では、最高裁判例にそくして、テーゼを検証する。 プリント資料(1回分=B4版3枚程度)を配布し、受講者がこの資料を事前に読んでいることを前提にして講義する。
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教科書・参考書等 |
参考論文 児玉 寛「サヴィニーの《法制度論」、村上淳一編 『法律家の歴史的素養』(東京大学出版会・2003年)
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成績評価の方法・基準 |
@前半の終了時に、後半の講義テーマに関する課題3問(各10点満点)を出題し、9月上旬に提出していただく。 A前半・後半それぞれの出席点を10点満点とする。 後半の最終日に、日本の最高裁判例1件を二つのテーゼから分析する論述式試験(50点満点)を行う。
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その他(質問・相談方法等) |
外国語の知識は不要ですが、毎回予習して出席していないと、講義内容に歯が立ちません。 |
過去の授業評価アンケート |
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