法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
現代日本の民主主義論入門――「市民」について考える
開講学期
前 期
担当教員
遠山 隆淑
単位数
2単位
教  室
307
科目区分
入門科目
履修条件
興味・関心のある方。
授業の目的
1.戦後60年を経ようとしている現代日本において、民主主義体制よりも優れた政治体制は存在しないということが当然の前提として受け入れられているようです。しかし、現代日本の民主主義のありようをめぐる評価は実は様々です。そうした議論の前提の一つとして、民主主義を支える有権者とは、理性的な討論を行う政治主体として、民主主義の展開を実践的に担ってきた欧米型の「市民」でなくてはならない、そうであるならば日本の有権者は欧米と比較していったい「市民」として成熟しているのだろうか、という問題がつねに存在してきたと言えます。政治学だけでなく広く社会科学とは人間の営みを自覚的にとらえ直すことであるとするならば、私たちには自らが取り巻かれている状況を自らの知性によって考え抜こうとする態度が不可欠です。したがって、現代日本に生きる私たち個々人が「市民」であるのか、そもそも「市民」とは何か、私たちが「市民」である必要はあるのか、「市民」でなければ何なのか、といった難問を自分自身で考える必要があります。このゼミでは、現代日本の民主主義に関する入門書(下記「教科書及び参考図書等」参照)を輪読し討論することで、こうした問題について考える力を養うことをめざしています。

2.ゼミでの報告、質疑、ゼミ・レポートの作成等を通じて、レジュメの作成方法、テキストの理解力、討論する力、自らの考えを的確に文章にまとめる力を養います。とりわけ、レジュメの作成方法については、テキストの読解方法を交えながら逐一指導します。また、レポートについては添削して返却します。

授業の概要・計画
第1回:オリエンテーション(自己紹介、ゼミの進め方・レジュメ作成方法の説明、報告者および質問者の割り当て等)。
第2回−第7回:佐伯啓思『現代民主主義の病理――戦後日本をどう見るか』。
第8回−第12回:篠原一『市民の政治学――討議デモクラシーとは何か――』。

授業の進め方
ゼミ1回につき、数名の報告者と数名の質問者(報告者、質問者の人数は、ゼミ参加者数による)を指名します。報告者は、担当箇所をレジュメにまとめて各10分程度報告します。質問者は、担当範囲について質疑を提出します。その後、それらの内容に基づき議論を行います。報告者以外の参加者も、テキストの指定範囲を通読した上で、1回のゼミで1回以上の発言が求められます。
教科書・参考書等
○佐伯啓思『現代民主主義の病理――戦後日本をどう見るか』日本放送出版協会、1997年。
 ○篠原一『市民の政治学――討議デモクラシーとは何か――』岩波新書、2004年。

 その他、参考文献については、ゼミの時間に適宜紹介します。      
成績評価の方法・基準
出席状況、ゼミでの報告内容、発言、レポートから総合的に評価します。
その他(質問・相談方法等)
何か質問があれば、大学院第16研究室に来てください。また、電話642−3233か電子メールtohyama@law.kyushu-u.ac.jpでも質問等受け付けます。      
過去の授業評価アンケート