古代から近世(江戸時代)までの日本の法制度や法観念の歴史について、「近世法に典型的にあらわれた前近代日本法の特徴はいかにして形成されたのか」という問題関心から、近世→中世→古代という順序で歴史を遡りながら概観する。同時に、「喧嘩両成敗法」、「徳政令」等、日本法史上の様々な興味深い法現象に特に着目し、それらを素材に日本法の歴史的特質について考える。 おおよそ以下のような構成にしたがって講義を進める予定である。(《 》内は予定回数)
1. 序論(「日本法制史」という学問の性格と意義)《2回》 2. 近世(江戸時代)法の特徴 《3回》 (1)管理型法観念の優位 (2)旧来の法慣行の利用 (3)法運用における普遍性の軽視 (4)形式と実質の使い分け (5)紛争発生の異常事態視 3. 中世の法と国制 《6回》 (1)中世法の基本的性格 (2)中世の裁判制度とその特徴 (3)中世の社会身分 (4)戦国期の国制と分国法 4. 近世国家の権力構造 《3回》 (1)大名権力と家臣の関係 (2)幕府権力と大名権力の関係 5. 日本古代の法と国制《5回》 (1)律令法の継受過程 (2)日本の律令法の特色 (3)律令の裁判制度 6. 古代から中世へ (荘園公領制と職の体系)《4回》 (1)律令法の変質 (2)荘園制の生成と発展 (3)「職」の体系 7. 結 び《1回》
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