法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
「周辺」から法と社会を考える ─ 「障害者の社会学」を基点に
開講学期
前 期
担当教員
土屋 明広
単位数
2単位
教  室
303
科目区分
入門科目
履修条件
 最低二回の報告とレポート提出を課しますので、興味関心を抱いているだけでなく、最低限の「やる気」をもって参加してください。
授業の目的
 「当たり前のこと」を「当たり前のこと」として問わない。このことは、大多数の人たちが意識的、無意識的を問わず日頃実践していることに他なりません。しかし、このような自明性の名のもとに行われる行為は「当たり前のこと」を「当たり前のこと」として行えない、行わない人たちにとって抑圧・排除を意味する一種の暴力に他なりません。そして、「法」は時として、公的な暴力として機能します。
 本演習の目的は、障害者問題をテーマとしてとりあげ、私たち自身の「立ち位置」を徹底的に疑っていくことで、社会全般に渦巻く暴力的な構造・装置に対する認識を深めていくことにあります。また演習を通して報告やレポート執筆の際の留意点について確認していきたいと考えています。
授業の概要・計画
 参加者人数によって流動的ではありますが、授業の概要・計画は以下の通りです。
 初回は参加者同士の顔合わせと今後の予定について相談したいと思います。演習前半はテキストの輪読を予定していますので、報告担当箇所の割当を行います(可能な限りテキストを入手しておいてください)。
 2回目以降、8〜10回かけてテキストを輪読していきます。障害者の直面している問題とともに、問題をより当事者にとって深刻なものにしている支配的言説(イデオロギーと言換えることも出来ます)について考えていきます。支配的言説が如何にして障害者を抑圧しているのか、また翻って支配的言説を遂行している大多数の人たち自身も如何に囚われの存在となっているかという点を自立や介助、施設、さらに家族や結婚といった社会的制度の背景にあるに構造や装置に着目することで考察していきます。これらの論点は障害者問題に留まらずマイノリティ問題全般について論じる際にも有効であることをも確認していきます。
 テキスト通読後は、残りの時間をかけて、参加者全員に執筆予定であるレポートの構想報告をしていただきます。
授業の進め方
 参加者による報告とそれに基づく議論によって授業を進めていきます。報告担当者はテキスト担当箇所を要約し、思うところを論点としてとりあげ、議論の端緒としてもらいます(報告40分、議論30分程度)。さらに、各回終了の際に報告者には全体の総括をしていただきます。
 報告者はテキスト末尾に掲載されている[文献リスト]掲載論文やその他の必要と思われるものを参考にして、内容を練り上げて報告に臨んでいただくことになります。なお、報告者以外の参加者も必ず該当箇所を熟読してきてください。場合によっては、内容について質問を行うこともあります。
 テキスト通読後に予定されているレポート構想報告は一人当たりの持ち時間は短くなると予想されますが、基本的に上記同様に報告と議論を軸に進めていきます。
 ゼミでは、各自発言を行うよう心がけておいてください。
教科書・参考書等
輪読テキスト(必須)
 安積純子他『生の技法-家と施設を出て暮らす障害者の社会学〔増補改訂版〕』藤原書店、1995

参考テキスト(任意)
 立岩真也『弱くある自由へ-自己決定・介護・生死の技術』青土社、2000
 児玉勇二・池田直樹編著『障害のある人の人権状況と権利擁護』明石書店、2003
 大谷恭子『共生の法律学〔新版〕』有斐閣、2002
成績評価の方法・基準
出席、報告、議論への参加、レポートによって評価します。
その他(質問・相談方法等)
質問、相談に関しては下記にご連絡下さい。
 法学部第14研究室
TEL:092-642-3231
e-mail:tsuchiya@law.kyushu-u.ac.jp
過去の授業評価アンケート