履修条件 |
特にありませんが、授業に必ず出席するだけでなく、報告・レポート作成という課題もあるので、以下の「授業の目的」「授業計画・概要」をよく読んで選択してください。 |
授業の目的 |
この授業では、法的なものの考え方の一端に触れることで、今後の法学学習に興味をもつきっかけを提供したいと考えています。もちろん、法的思考といっても、その内容について完全に一致した見解があるわけではありません。ただし、法律の条文や裁判所の判決を読んで、「なにをすべきか」と「なぜそうすべきか」という問いに対する答えをそこから導くことが法学教育の目的の一つである点に異論はないと思われます。本授業では、医療にかかわる具体的な法律問題を題材に、このような意味での法的思考を参加者自身の頭で試していただくことを目的としています。 |
授業の概要・計画 |
医療と法とのかかわりはずいぶんと前から議論されてきています。しかし、医事法という分野はいまだに個別問題の積み上げでしかなく、体系的とはいえない状態です。それでも、医師と患者の関係がその中心にあることは間違いありません。そして、医師・患者関係論のうち、患者の意思決定と医師の専門的判断との調整は、重要な法律問題を提起しています。事実、治療方法について、患者が自分の人生観・生活設計に照らして決めるべきなのか、それとも医師が医療の専門家として決断すべきなのか、あるいは両者の協働こそ必要なのか、という問題が、ますます重要になってきています。授業では、「エホバの証人による輸血拒否」・「乳がん患者による乳房温存療法の選択」に関する二つの事件を題材にしてこの問題を検討することにします(前半)。 医師・患者関係を契約関係とみれば、それは「医師が患者を治療し、患者がその代金を支払う」関係として記述できるはずです。しかし、現実にはそれほど単純な関係ではありません。医師・患者関係は医療保険という制度に支えられて存在しています。それは国民に医療サーヴィスを保障すると同時に、その経済的な負担の仕組みを作り上げている法制度です。現在、この制度には克服すべき課題があります。それは医療費の高騰にどう対処すべきかということです。授業では、医療サーヴィスの内容を見直すことでこれを解決しようとするアプローチを検討することにします(後半)。 以上のように、前半は裁判例、後半は制度改革論をあつかいます。前者は現実におきた事件について法的な思考に基づく分析をおこなうことが要求されるのに対して、後者では法的思考によって将来の事態を見きわめていくことが必要になります。
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授業の進め方 |
授業計画・概要で述べた問題について、参照すべき文献・裁判例を事前に配布して、担当者に報告をしていただくことにします。報告を受けて全員で討論をしますので、報告者以外も課題を読んでくる必要があります。もちろん、専門性の高い文献を読むことになるので、講義形式の授業を適宜はさんで、みなさんが課題を理解できるようにします。 |
教科書・参考書等 |
授業の際に指示します。 |
成績評価の方法・基準 |
出席、報告、レポートによって評価します。試験はおこないません。 |
その他(質問・相談方法等) |
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過去の授業評価アンケート |
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