法政基礎演習2

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習2
標準年次
2
講義題目
年金問題に学ぶ行政法・社会保障法入門
開講学期
前 期
担当教員
原田 大樹 大樹
単位数
2単位
教  室
106
科目区分
入門科目
履修条件
ゼミ活動に対する熱意とやる気をもっていること。
法律学に対する現段階での知識量は問いません。やる気はあるのに勉強方法が分からず、これまで「空回り」してきたと感じている方の参加を歓迎します。
授業の目的
20歳になると、国民年金保険料の支払いを要求する通知が届きます。しかし、少子高齢化社会や日本の経済状況を前提とすると、今我々が保険料を支払っても、老後受け取れるのか、年金制度はそもそも維持可能なのかという不安がつきまといます。昨年には、政治家をはじめ多くの有名人が年金保険料を未納していたことが世間を賑わし、また参議院選挙では年金制度のあり方が争点となりました。本演習では年金問題を素材として行政法・社会保障法の世界を概観し、2年後期以降の本格的な法律・政治科目の履修に必要な基礎的知識を身につけるとともに、社会認識の眼を養うことを第1の目的とします。社会の利害状況の広がりや関連性を認識し、あるいは各個人が置かれる立場はいつでも入れ替わりうることを知ることは、法律学の勉強にとっては必須の「広い視野」を涵養することにつながります。
しかし、本演習の目的はそれだけにとどまりません。大学時代に是非身につけておきたい知的生産の方法を体得することが、本演習の第2の目的です。具体的には、課題の発見→情報収集→考察・分析→プレゼンテーション→議論のそれぞれの段階で必要なスキルを、ゼミ活動の中で会得してほしいと考えています。高校までの勉強と、大学における法律学の勉強との大きな相違は、未知の新たな問題が次々に発生すること、解決策(解答)がいくつもありうることにあります。大学で法律学を勉強する上では、ある問題に対する自分なりの正解を考えるために広く情報を集め、活字と格闘し、検討し、議論するプロセスが必須です。さらに、ある程度まとまった長さの文章を、論理的に組み立てる能力も高めてほしいと思います。これらは、将来どの分野に進んだとしても必要な技術だからです。
授業の概要・計画
[第1回]オリエンテーション@
自己紹介とあわせて、年金問題に関する新聞記事または雑誌記事を1人1つずつ照会してもらいます。皆さんが持ち寄った記事をベースにゼミ報告課題を設定することにしたいと思います。
[第2回]オリエンテーションA
ゼミ報告のために必要な、情報収集の方法・情報分析の方法・プレゼンテーションの方法について説明します。時間的余裕があれば、法学部図書館等の見学や情報検索ツールの利用方法に関する実習も行いたいと思います。
[第3回・第4回]行政法・社会保障法入門
年金問題を考える上で最低限必要な、行政法・社会保障法の基礎的な知識を2回に分けて概観します。一方的な説明によるのではなく、予習課題を中心とする対話・討論の中で、こうした知識を深める契機をつくることとします。
[第5回以降]ゼミ報告
参加者数にもよりますが、最低1回はゼミ報告をしてもらいます。第1回ゼミで割り当てたテーマに従って報告してもらい、その後全員で討論します。
授業の進め方
[第1回]
年金問題に関する新聞記事または雑誌記事のコピーを持ってきてください。
[第2回〜第4回]
予習課題として挙げた問題を自分なりに考えた上でゼミに参加し、ゼミ後は教科書や参考文献等に目を通してください。
[第5回]
報告者はレジュメを作成し(レジュメは報告1週間前のゼミで配布します)、これに基づいて報告(30分)を行います。その後、コメンテーターが5分程度コメントを述べた後、全員で報告内容に関して討論します。報告者は、ここで出された質問や意見をベースに検討を重ね、学期末までに報告課題に関するゼミ論文を執筆します。
教科書・参考書等
教科書として
大橋洋一『行政法 現代行政過程論[第2版]』(有斐閣・2004年)(¥3780)
西村健一郎『社会保障法』(有斐閣・2003年)(¥3675)
この他の参考書についてはゼミの中で紹介します。
成績評価の方法・基準
平素のゼミにおける状況(無断欠席2回以上の場合には単位認定しません)、ゼミ報告及びゼミ論文により評価します。
その他(質問・相談方法等)
質問は随時受け付けます。とくに各自の報告・論文課題に関しては積極的に質問してください。また、討論の際には、どんな意見でもいいので、一日一発言してください。
過去の授業評価アンケート