履修条件 |
ヨーロッパの歴史に関心のある学生。19世紀以降の中欧史を予習しておくとなお良し。 |
授業の目的 |
(1)19世紀から現在にいたる「中欧」の歴史について学習し、現代の「中欧」が抱える諸問題のひとつの歴史的起源を理解すること。 (2)ゼミを通して専門的文献の精読を経験すること。 (3)レジュメの作成、報告・ディスカッション、レポートの作成などの方法といった、大学生として身につけるべき基本的な技術的素養を学習すること。
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授業の概要・計画 |
2004年5月、EUは東方に拡大して全25カ国を抱えることになりました。これを受けて、チェコ、ポーランド、ハンガリーといった新加盟国の多くを指す「中欧」という地政学的概念が、現在再び注目を集めています。1989年の東欧革命によって社会主義政権が打ち倒され、資本主義国として再出発した旧東欧諸国が、「ヨーロッパの一員」として西欧を中心とするEU秩序に編入された結果、多くの経済的・社会的問題が浮上しているためです。しかし「中欧」として西欧諸国が指導する国際秩序に組み入れられる経験は、すでに彼らが第二次世界大戦以前から持ってきたものでした。現在の「中欧」を読み解くためにも、かつて「中欧」という言葉にどのような意味がこめられていたのかを知る必要があります。昨年翻訳・出版されたジャック・ル・リデー著『中欧論』は、専門書の翻訳であるためやや難解ではありますが、19世紀以降のドイツとオーストリアにおいて、「中欧」がどのように規定されてきたのかを知るための格好のテキストです。本ゼミでは、『中欧論』を精読して、「中欧」の歴史を学び、現代ヨーロッパを理解するひとつの視座を獲得したいと考えています。 本ゼミでは、レジュメの作り方と報告の仕方を大学で学ぶべき最も重要な要素のひとつとして捉えて、特に丁寧に指導します。また学期末にはヨーロッパの歴史と現在という課題でレポートを作成してもらいます。レポートの書き方についても教官が指導します。 |
授業の進め方 |
初回は教官と参加者の自己紹介、ゼミの進め方、レジュメ作成の基本的な「型」のレクチャー、次回報告者の指定などといったオリエンテーションに当てます。第2回目以降は基本的に、報告者によるレジュメの提示と報告、教官によるレジュメ指導、参加者全体によるディスカッション、という順番でゼミを進めます。ディスカッションを円滑に進めるため、あらかじめ数名のコメンテーターを指名して論点を提示させます。
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教科書・参考書等 |
教科書 ・ジャック・ル・リデー(田口晃訳)『中欧論―帝国からEUへ』白水社文庫クセ ジュ、2004年 参考書 ・羽場久み子『統合ヨーロッパの民族問題』講談社現代新書、2001年 ・羽場久み子『拡大ヨーロッパの挑戦』中公新書、2004年
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成績評価の方法・基準 |
ゼミへの出席、平素の報告と議論の質、およびレポートの質から総合的に判断します。 |
その他(質問・相談方法等) |
ゼミに関する質問は、主に電子メールにて受け付けます。 アドレスは kitamura@law.kyushu-u.ac.jpです。
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過去の授業評価アンケート |
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