伝統中国は、日本西欧等の封建制的国制を経た地域とは異なり、既に前近代の段階から、皇帝を頂点とする統一的な国家官僚制と、膨大な数の小家族を行動単位とする流動的な大衆社会状況との組み合わせから成っていた。しかし他面、そこには近代主権国家=市民社会に見られるような「権利と法」を基軸とする制度構成が存在していた訳でもなかった。ならばそこにあった秩序形成原理は何なのか。本講は、主に清代社会を念頭に置いて、帝制中国に特有の秩序形成の型の再構成を試みる。 第T講 帝制中国の国制と社会の概要 第U講 紛争と裁きの枠組み 第V講 断罪−刑事裁判の概要 第W講 聴訟−民事裁判の概要 第X講 帝制中国における法の特質 |