この講義のテーマは、「法解釈方法論の比較私法史的考察」です。「私法」という限定を付したのは、私法−とくに民法−における法解釈方法論は、憲法や刑法におけるそれとは異なるからです。 法学入門などの講義では、拡大解釈・縮小解釈・類推適用などの解説がなされます。しかし、実際の民法の講義では、条文の具体的な解釈とそのような方法論との関連は、時間の制約もあって、立ち入って論じられていません。 講義の前半では、ヨーロッパの法律学の歴史のなかで、「なぜ、法解釈方法論が問題にされてきたのか?」、「どのような解釈手法が、案出されたのか?」について、概説します。 講義の後半では、様々な解釈手法について、日本民法の条文・判例を素材にして、解説します。 講義は、予め配布する資料(各回、A4版6程度)を読んでいることを前提に進めます。後半の第27回あたりに試験をします。第28回以降では、試験問題の解説を兼ねた総まとめを行います。 昨年の集中講義と素材は違いますが、授業の目的は同じです。資料の分量も多く、内容も多岐にわたり、試験問題も高度ですから、「集中講義は、楽勝科目」などといった安易な気分で受講すれば、脱落は必至です。 しかし覚悟して受講すれば、得るものは大いにありましょう。ちなみに、昨年の受講者は10名ほどでしたが、異口同音に、「目からウロコが落ちた」、「3年次に受講しておけば、勉強の姿勢も変わったと思う」、「頭のなかが真っ白になった」との感想を寄せてくれました。 参考文献としては、広中俊雄『民法解釈方法に関する十二講』(有斐閣)を挙げておきますが、これにそって講義をするわけではありません。関連文献については、適宜、講義資料のなかで指示します。 試験については、前半の講義の最終回に、試験問題を提示します。その解答は、なにを調べても明示的には書かれていません。講義資料をもとに自分の頭で考えるしかありません。友人と議論しても構いませんが、似通った答案については、第28回以降の講義で本人に解説してもらい、自分の頭で考えたのではないことの馬脚をあらわした場合は、ゼロ点と評価します。 |