履修条件 |
特になし |
授業の目的 |
19世紀以降今日まで、世界のあり方は、根底において、ナショナリズムと呼ばれる社会風潮によって規定されてきたと言って、過言ではない。この社会風潮が、どのような歴史的経緯と文化的背景をもって形成されてきたか、またそれはなぜ人間に自己犠牲をあえてさせるほど強力なのかということについて、概括的な理解を可能にすることが、この講義の目的である。 |
授業の概要・計画 |
ナショナリズムが、同一国家に属する人間にたいして同胞意識を抱かせ、そのことによって、人間の情念を抗いがたく揺さぶる社会風潮であることから、この主題を論じるには、まず (1)その基礎として、心理学的議論と共同体にかんする議論とを一瞥しておくことが必要であり、そのうえで (2)国民国家という特異な国家が、はじめて登場するや、近代化の波及と雁行して全世界に拡大していった、世界史的条件を考察し、さらに (3)この、前近代の土地に緊縛された共同体を破壊しながら自己を形成した国家が、みずからを祖国という共同体として呈示できるのはなぜかを、考える。 |
授業の進め方 |
授業は、おもにB・アンダーソンの『想像の共同体──ナショナリズムの起源と流行』に沿って進行するが、議論の必要におうじて、フロイトやエリクソンなどの心理学的議論、ナンシーなどの共同体論についても言及する。また、アンダーソン以外の理論家のナショナリズム論も、随時紹介する。 時間の許す限り、アンダーソンが言及している西欧の例と、明治国家におけるナショナリズムの表現例とのあいだを、往復するような形で、議論を進行させるつもりである。 |
教科書・参考書等 |
教科書 B・アンダーソン(白石さや・白石隆訳)『増補 想像の共同体──ナショナリズムの起源と流行」、NTT出版 これ以外の資料は、必要に応じてコピーを配布する |
成績評価の方法・基準 |
論述式の筆記試験をおこなう。 成績評価にあたっては、論述の論理性と思考の深さを重視する。 |
その他(質問・相談方法等) |
教科書は指定しているが、授業そのものは教科書の記述どおりではないので、毎回出席してノートをとっておくこと |
過去の授業評価アンケート |
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