沖縄県は戦後60年間にわたり、アメリカ人ともっとも濃密な交流をしてきた国内有数の地域である。しかし、県民のあいだでは、民主主義の先導者としてのアメリカにたいする「期待」と、基地の加重負担に起因するアメリカへの「反発」(反基地感情)とが、二律背反的に交錯し続けてきた。日米安保体制にたいしては、極東の安定や日本経済の発展を下支えしてきたとして肯定的に評価するよりも、「人命や暮らしを脅かす安保」として否定的に評価する傾向が強い。 終戦後、日本国憲法で保障された民主主義と諸権利を熱望しながら、その理想とかけ離れた日本の戦後60年間を、沖縄に視点を据えて検証し、いかなる展望が可能なのかを考える。 |