授業の概要・計画 |
「体感治安」等が「市民的治安主義」を醸成し、厳罰主義,重罰主義を内容とする刑事立法ラッシュを呼んでいる。貧しい福祉の切り捨て、切り下げの中で刑事法の枠内に閉じ込められた「犯罪被害者問題」がこれを後押ししている。その影響は理論にも呼び、「パラダイムの転換」を名目として、近代刑事法の諸原則からの脱却を説く声が日増しに強まっている。「敵味方刑法」の主張さえも見られる。このようななか、責任の領域では,責任の客観化の主張に加え、心理的責任論の復権の動きも見られる。構成要件論においても、責任論の取り込みの動きが顕著である。違法論と責任論を融合させる動きも久しい。 本講義においては、このような動きに言及しつつ、犯罪論上の諸問題について、判例をも踏まえつつ、基礎的な解説を加える。 教科書によりつつ講義を進めるが、適宜、必要な補充を行う予定である。講義の順序もおおむね教科書の順序によることとする。
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