法政基礎演習2

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習2
標準年次
2
講義題目
法制度を中心とする現代中国事情
開講学期
前 期
担当教員
何   東  
単位数
2単位
教  室
2研
科目区分
入門科目
履修条件
中国の政治・社会問題に関心があって、学習に意欲と熱意があり、議論に積極的に参加できる学生が望ましい。

授業の目的
第一に、現代中国事情を多面的に概観し、現代中国の抱える問題および将来の展望を考える。
第二に、報告やレジュメの作成方法など、プレゼンテーションの仕方を身につけること、文献を探索・利用するノウ・ハウを確立する。
第三に、テキストを的確に読解し、他者の意見をなるべく正確に理解しつつ自分の意見を明確に他者に伝え、議論する力を身につけること。
授業の概要・計画
【概要】
 80年代から改革・開放政策が実施され、市場経済を取り入れた中国は、経済が大きく成長してきた一方、新しい不安定な要素(人口、食糧、エネルギー、官僚の腐敗、格差の拡大など)をたくさん抱え込んでいる。日本にとって、このような中国とどのような関係を築いていくべきか、ということは、単に日中関係のみならず、東アジア全体の平和秩序を考える上で重要である。
 ところが、ここのところの日中関係は、「政冷経熱」と表現されているように、経済面ではますます両者の間の緊密な関係が形成されつつあるいっぽうで、政治面においては、1972年の日中国交正常化以来最大の困難に直面していると言ってもよいであろう。このような事態は、中国の社会構造や国民意識の急速な変化、日中間の相互の不理解などのさまざまな要素が原因であると考えられる。打開策はあるのだろうか。
 本ゼミでは、中国はどういう国なのかということを、現代中国の事情について学ぶことによって再認識する。現代中国社会を多面的に概観し、その抱える問題および将来の展望を考える。ここ10年で、中国の社会事情は大きく変化してきた。その変化は、いわゆる「沿岸部」に林立する高層ビルなどの目に見えるものにとどまらず、政治体制や社会構造や国民意識など深層の部分に及んでいる。13億人の中国の改革、また法治、人権、民主主義、環境保護、貧困解消など、中国の抱える悩みは数多い。そして、これらの問題は、隣国である日本へも多大な影響を与えかねないものであって、日本の将来の国益に直接に関わってくる。
 人と人との交流にしても、国と国との交流にしても、まず大切なのは、相手のことをよく知ることである。本ゼミを通じて、中国社会の深層のダイナミズムに注目し、表面的な一個の事象に囚われることなく、中国の実態を深く理解していただくことを期待する。

本演習で扱う具体的テーマについて、参考としてテキスト(下記参照)の目次を掲げる。
 第一章 社会構造の巨大な変化
 第二章 国民意識の革命
 第三章 「ポスト江沢民」のニューリーダー
 第四章 政治改革と「中華連邦」の可能性
 第五章 経済大国への試練
 第六章 模索される世界との協調
 第七章 日中は共通の基盤を築けるか

【計画】
 第一回目のゼミはオリエンテーション(ゼミの趣旨説明、自己紹介、報告内容の割り振りと報告者の決定、報告上の注意、文献の紹介等)を行う。時間に余裕があれば、文系合同図書館や法学部情報サロンなどを見学する。第二回目以降は、報告者によってテキストの内容を報告してもらい、質疑応答、議論を行う。そして、最終回には演習全体を総括する。

授業の進め方
全員必ず一度は報告を担当してもらう。履修者数にもよるが、一回につき報告担当者1名と質問者1名(履修者数が多ければ報告者2名)をあらかじめ設定し、報告者による報告とそれに対する質問者からの質疑を軸に、全員で議論をする。報告者は、テキストの要約をした上で、他の資料(できれば複数)を参照してレジュメを作成し報告を行う。また報告者以外の人も、必ずテキストを通読した上でゼミに出席し、一回のゼミで一度以上の発言をしていただく。なお、履修者数やゼミの進捗度によって、新たなテキストを加える可能性もある。
教科書・参考書等
【教科書】
朱建栄『中国 第三の革命(中公新書)』中央公論新社、2002年(¥740+税)

【参考図書】
興梠一郎『中国激流 13億のゆくえ(岩波新書)』岩波書店、2005年(¥780+税)
天児慧・石原享一・朱建栄・ 辻康吾・菱田雅晴・村田雄二郎編『現代中国事典』岩波書店、1999年

※他の参考文献類については必要に応じて随時指示する。
成績評価の方法・基準
出席状況、報告内容、論議への参加の度合い等によって評価する。
無断遅刻・欠席はマイナス評価の対象とする。
その他(質問・相談方法等)
質問は随時受け付けます。
電子メールでの連絡は @law.kyushu-u.ac.jp の前に he を付加したアドレスまで


(学務委員会より)
この授業の受講には別途登録(登録期間は4月5日〜4月11日)が必要です。法学部HPの「お知らせ欄」を参照してください。なお、この授業の初回は4月18日となります。
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