履修条件 |
国際政治について関心を持つ意欲のある学生 |
授業の目的 |
その評価をめぐっては議論があるものの、アメリカの存在抜きにして国際政治やグローバルな政治は語ることができません。本演習は、「帝国」としてのアメリカという議論を通じて、(1)国際政治について理解を深めるとともに、(2)それらを体系的に理解するような見方を養うことを目的とします。さらに、(3)今後ゼミに参加していくにあたって重要である、プレゼンテーションや論点提示の仕方、議論のすすめ方、エッセイ(論文)の書き方、といった基本的な力を磨いてもらいたいと思います。 |
授業の概要・計画 |
世界の軍事費の約半分を占め、「世界の警察」として行動するアメリカ、世界経済の約3割を占め、自由主義経済の担い手であるアメリカ、民主主義の理念と実現を高唱するアメリカ、いずれのイメージも事実の一端をとらえていることは否定できません。 アメリカという国の個性とアメリカが有しているある種の普遍性が、世界の政治のあり方に陰影を与えています。このような一見相反する性格をどうとらえれば良いのか、古くから議論されてきた問題が、9.11やイラク戦争を目の当たりにして、再び問われることになったといえるでしょう。 本演習では、このような背景を、「帝国」としてのアメリカという議論を通じて検討していくことにします。かつてのイデオロギー的な批判としての「帝国主義」、あるいは「ネオコンの陰謀」という見方とは違うものの、「帝国」論は、衒学的で抽象的な議論という面もあります。しかし、大事なのは、何をどう見るのか、つまり、これらの議論が、「アメリカと世界」の関係について、そしてアメリカの外交政策との関連について、どう語っているについて理解し、自らも考えていくことだと思います。 「帝国」という言葉自体は、一時の小さな知的ファッションに過ぎないのかもしれません。しかし、言葉が取り上げられた背景、提起した課題にも目を配り、演習担当者も含めて、参加者ともに議論し、考えていきたいと思います。 |
授業の進め方 |
最初に、ゼミを進めていくに際して、報告の仕方、論点提示の仕方、議論のすすめ方などについて説明します。 ゼミでは、毎回報告者を決め、レジュメを作成のうえで報告を行ってもらいます。報告者は、テキストの内容の要約だけでなく、それに関する疑問点・論点について挙げてもらいます。1回のゼミでは、1つの章あつかう予定です。 また、本演習では、全演習終了後にエッセイ(論文)を提出してもらうことにしていますので、最後の数回には、文献の収集や脚注などアカデミックな文献スタイルについても紹介する機会を設けたいと思っています。 |
教科書・参考書等 |
教科書 ・藤原帰―『デモクラシーの帝国』(岩波書店、2003年) ・佐伯啓思『新「帝国」アメリカを解剖する』(筑摩書房、2003年) 参考図書 ・村田晃嗣『アメリカ外交』(講談社、2005年) ・アルフレート・ヴァラダン『自由の帝国』(NTT出版、2000年) ・ジョセフ・ナイ『ソフト・パワー』(日本経済新聞社、2004年) など。 |
成績評価の方法・基準 |
成績評価は、出席、報告、討論への参加状況、エッセイをもとにしておこないます。 |
その他(質問・相談方法等) |
詳細については、参加者との協議のうえで決定します。
(学務委員会より) この授業の受講には別途登録(登録期間は4月5日〜4月11日)が必要です。法学部HPの「お知らせ欄」を参照してください。なお、この授業の初回は4月18日となります。 |
過去の授業評価アンケート |
2005年度前期 |