法政基礎演習2

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習2
標準年次
2
講義題目
住民投票制度(条例)をめぐる法と政策と運動
開講学期
前 期
担当教員
坂井 宏介  
単位数
2単位
教  室
4研
科目区分
入門科目
履修条件
住民投票や市民参加など直接民主的な制度や政策に興味関心のある方
自分なりに目標を設定し、毎回の演習にベストを尽くす方
授業の目的
本演習では、次の3点の習得を目的としたいと思います。
(1)文献講読を通して住民投票をめぐる動向や識者の多様な議論を把握すること。
(2)様々な識者の論文講読を通して、各論者がどの様な問題意識や分析視角から議論を展開しているのか、それぞれの議論の弱点とは何か確認し、批判的・論理的思考力を身につけること。
(3)3年次より本格的な演習活動を行うのに必要な「調べる」、「話題(論点)を提供する」、「主張する」、「他者の意見に耳を傾ける」、「議論する」、「反省する」の各スキルを身につけること。
授業の概要・計画
【授業の概要】
 1996年に新潟県巻町で「原子力発電所建設」問題をめぐり住民投票条例が制定実施され、これをきっかけとして同条例の制度化をめぐる運動や議論が活発化してきました。近年、全国の市町村では自治体合併を争点とした住民投票が相次いで実施され、本年3月12日にも、山口県岩国市で在日米軍・空母艦載機の岩国基地移転をめぐり住民投票が行われ移転反対が87・4%という結果となりました。
 本演習では、多様な論文(ジャーナリスト、法律学者、政治学者、社会学者)を講読することで、住民投票にみられる直接民主的な手法をめぐる動向や専門的知見に対する理解を深めると共に、住民投票という同一の事柄に対して様々な視点から多様な議論が可能なことを理解し、その様な議論と分析の手法を身につけるきっかけにしたいと思います。
【授業計画】
(第1回 オリエンテーション)
 演習担当者と参加者の自己紹介、及び参加者の皆さんの具体的な問題関心を語っていただきます。
(第2回 演習活動における必要な技法の習得)
 演習担当者による報告をもとに、「レジュメの作成方法」、「報告と議論の方法」、「文献の調査方法」についてレクチャーし、皆さんにこれらの手法を身につけてもらいます。
(第3回以降 課題文献報告と議論)
 参加者の皆さんには最低1回は文献報告を担当していただきます。また、毎回の演習において必ず1回は発言をしてもらいます。具体的な課題としては、現行法制度の概要、制度設計上の論点、諸外国の住民投票制度、直接民主政と間接民主政の関係、各地の動向とメディアの報道姿勢など思われます。
(全演習日程終了後)
 住民投票をめぐる何らかの争点に関して、「賛成派」ないし「反対派」のいずれかの立場に依拠したレポートを執筆していただき、演習担当者の指定する期日までに提出してもらいます。
授業の進め方
@報告担当者による担当文献の内容紹介と問題提起
 報告者には、報告担当文献に述べられている内容を適切に要約し、それをレジェメにまとめ報告し、内容に関係する2・3の問題提起をしてもらいます(報告時間は約20〜30分)。
A司会担当者による議事進行
 司会担当者は、最初に、報告者の報告内容における曖昧な点を確認質問して明確化してください(約5・6分)。その上で、参加者全員が必ず1回は発言できるよう議論の流れに目を配りつつ議事進行を行います(約50分)。演習担当者も適宜、サポートします。
B報告担当者・司会担当者による総括及び自己評価
 各回の演習終了間際には、報告者には自らの報告に関して、司会者には自らの司会進行に関して、良い点と今後の課題点を自己評価していただき、終了を迎えたいと思います。
教科書・参考書等
【教科書】
 まずは、次の2つの文献を講読する予定です。
今井一『住民投票:観客民主主義を超えて』(岩波新書、2000年)、777円(税込)。
森田朗・村上順編『住民投票が拓く自治:諸外国の制度と日本の現状』
(公人社、2003年)、1995円(税込)。
上記の文献講読後は、なるべく参加者の皆さんの問題関心に応じた文献を選定・講読する予定です。
【参考図書】
 演習時に適宜、紹介したいと思います。また参考資料は適宜、配布いたします。
成績評価の方法・基準
 試験は行いません。出席、演習における報告内容及び議論への参加などの演習に対する貢献度、演習終了後に提出してもらうレポートにより総合的に評価します。
その他(質問・相談方法等)
質問は、e-mail(@nifty.comの前にugj63804を付加)にて随時、受け付けます。レジェメの作成、文献調査など演習に関する疑問点・問題点があれば、演習担当者やその他の参加者に質問し、迅速に解決させるよう心懸けてください。また、本演習専用のメーリングリストを設定することで、演習時間外にも適宜、学習上の情報交換や公法学・政治学に関する話題を提供できるようにしたいと考えています。


(学務委員会より)
この授業の受講には別途登録(登録期間は4月5日〜4月11日)が必要です。法学部HPの「お知らせ欄」を参照してください。なお、この授業の初回は4月18日となります。
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