法政基礎演習1(コアセミナー)

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習1(コアセミナー)
標準年次
1
講義題目
“The Economist”を読む
開講学期
前 期
担当教員
小島 立
単位数
2単位
教  室
105
科目区分
基幹教育科目
履修条件
 積極性溢れる受講者の参加を希望します。
授業の目的
(法政基礎演習1(コアセミナー)の共通目標)
 法政基礎演習1では,今後,皆さんが大学で法学・政治学を学ぶに当たって,必要な能力を涵養することを目標としています。その能力とは,(1)与えられた素材を適切に理解した上で報告内容をまとめ,限られた時間内で,人前で説得的に発表する力(プレゼンテーション能力),(2)的確に質問,回答し,議論を進めることができる力(ディスカッション能力),(3)種々の資料を渉猟した上で,文章で自己の見解を表現できる力(レポート執筆能力)の3つです。これらの能力は,皆さんが将来,いかなる職業に就いた際にも,必ず必要とされます。その基礎的な力を養うことは,法政基礎演習1の重要な課題です。
 
(本演習の目標)
 学生時代に取り組むべき重要な課題の1つとして,英語を含めた外国語の学習が挙げられます。しかし,そもそも論として,なぜ外国語の学習が重要なのでしょうか?
 本演習では,上質な英語素材である“The Economist”の講読を通じ,ただ単に英語能力を高めるのみならず,参加者の皆さんと一緒に,以下の点について,意識的に考える機会を持てればと考えています。第1に,英語に限らず,私たちが外国語を学ぶ意義はどこにあるのか,ということ,第2に,私たちが外国語を学習する際の「心構え」はいかにあるべきなのか,ということです。
 また,本演習は,法学・政治学への入り口としての位置付けにあることから,ただ漫然と英語雑誌を読むのではなく,受講者の皆さんが今後,法学部において法学・政治学を学ぶ上での「心構え」を養うことができるよう,意を払いたいと思います(ちなみに,授業担当者は,外国語を学ぶという作業と,法学・政治学を学ぶという作業には,通底するものがあると考えています)。
授業の概要・計画
 “The Economist”の中から,社会科学(法学,政治学,経済学など)や,外から見た日本の姿に関する内容を中心に講読を行ない,講読の内容を踏まえ,予め指定された担当者に,講読内容に関連する報告をしていただきます。それに引き続き,全員でディスカッションを進めたいと考えています。
授業の進め方
(授業のスケジュール)
 初回の授業において,本演習の狙いや第2回目以降の進め方について簡単に説明した上で,外国語を学ぶ意義やその際の「心構え」について,参加者で一緒に議論したいと思います。また,時間があれば,報告の仕方(資料調査,報告原稿の書き方,プレゼンテーションのやり方など)についても触れたいと思います。
 第2回目(あるいは第3回目)以降,“The Economist”の講読に入り,それに引き続いて,翌週に報告(プレゼンテーション)と議論(ディスカッション)を行なうという手順で臨みたいと思っています。
 講読と報告・議論のスケジュールに関しては,参加者の人数により,変更もあり得ます(例えば,参加者が多い場合には,講読と報告・議論を同一の週に行なう可能性もあります)。
 
(教科書の使い方)
 初回(あるいは第2回目)に,教科書指定した3冊を参照しますので,開講前に入手し,目を通しておいていただくことが望ましいです。開講時までに入手困難な場合であっても,第2回目の授業までには,是非とも揃えていただきたいと思います。

(授業の進め方)
 講読の際には,予め担当者を決めるのではなく,その場で担当者を指名して訳出していただく形式を取ります。加えて,文法や内容に関する説明を求めることもありますので,参加者全員が事前に十分な準備を行なうことが求められます。
 報告・議論を行なう際には,報告者は,参考文献や新聞・雑誌資料等を調査し,報告資料を作成した上で,定められた時間内で報告を行なうことが求められます。報告を行なわない参加者も,授業中に必ず1回は発言し,積極的に議論に参加して欲しいと思います(もっとも,1回発言すれば十分という趣旨ではありませんので,悪しからずご了解下さい)。
教科書・参考書等
教科書(必ず購入して下さい)
斎藤兆史『英語達人列伝――あっぱれ,日本人の英語』(中公新書,2000年)
澤田昭夫『論文の書き方』(講談社学術文庫,1977年)
清水幾太郎『論文の書き方』(岩波新書,1959年)

 『英語達人列伝』のほかに,外国語を学ぶ意義や,その際の「心構え」について考えさせられる書物として,以下のものがあります。
斎藤兆史『英語達人塾――極めるための独習法指南』(中公新書,2003年)
斎藤兆史『日本人に一番合った英語学習法――「先人に学ぶ400年の知恵」』(祥伝社,2003年)
斎藤兆史=野崎歓『英語のたくらみ・フランス語のたわむれ』(東京大学出版会,2004年)
齋藤孝=斎藤兆史『日本語力と英語力』(中公新書ラクレ,2004年)
鈴木孝夫『なぜ日本人は英語ができないか』(岩波新書,1999年)
山田雄一郎『日本の英語教育』(岩波新書,2005年)
山田雄一郎『英語教育はなぜ間違うのか』(ちくま新書,2005年)
太田雄三『英語と日本人』(講談社学術文庫,1995年)
中公新書ラクレ編集部=鈴木義里編『論争・英語が公用語になる日』(中公新書ラクレ,2002年)
茂木弘道『文科省が英語を壊す』(中公新書ラクレ,2004年)
米原万里『不実な美女か貞淑な醜女か』(新潮文庫,1998年)
浦出善文『英語屋さん』(集英社新書,2000年)
キム・ジョンキュー『知的な大人の勉強法――英語を制する「ライティング」』(講談社現代新書,2006年)
市川力『英語を子どもに教えるな』(中公新書ラクレ,2004年)
市川力『「教えない」英語教育』(中公新書ラクレ,2005年)
和田秀樹『「英語脳」の作り方』(中公新書ラクレ,2003年)
薬師院仁志『英語を学べばバカになる――グローバル思考という妄想』(光文社新書,2005年)
柴田元幸『翻訳教室』(新書館,2006年)

 論文(レポート)の書き方,プレゼンテーションの仕方,ディベートや交渉術に関しては,以下の書物も適宜参照して下さい。
澤田昭夫『論文のレトリック――わかりやすいまとめ方――』(講談社学術文庫,1983年)
木下是雄『理科系の作文技術』(中公新書,1981年)
ハワード・S・ベッカー=パメラ・リチャーズ(佐野敏行訳)『論文の技法』(講談社学術文庫,1996年)
本多勝一『日本語の作文技術』(朝日文庫,1982年)
外山滋比古『日本の文章』(講談社学術文庫,1984年)
小野田博一『論理的に話す方法』(日本実業出版社,1996年)
松本茂『頭を鍛えるディベート入門』(講談社ブルーバックス,1996年)
望月和彦『ディベートのすすめ』(有斐閣選書,2003年)
ロジャー・フィッシャー=ウィリアム・ユーリー(金山宣夫=浅井和子訳)『ハーバード流交渉術』(三笠書房,1989年)
高杉尚孝『論理的思考と交渉のスキル』(光文社新書,2003年)
成績評価の方法・基準
 期末試験は行ないません。成績評価は,平常点(出席状況,報告内容,議論への参加態度等),学期末に提出していただく,5,000字以上のレポートによります。
 なお,無断欠席や正当な理由の伴わない欠席は,厳しく減点の対象と致します(止むを得ず欠席する場合には,必ず事前に授業担当者まで連絡して下さい)。
 また,レポートを作成する場合には,「引用」の作法を守った上で,執筆を行なって下さい(具体的な手順に関しては,授業中に説明を致します)。この作法が守られていないレポートも,減点の対象となります。
その他(質問・相談方法等)
 講読の対象とする“The Economist”は,非常に洗練された内容を誇るハイレヴェルの英語雑誌であり,これを辞書なしでスラスラと読めるようであれば,少なくとも英語に関しては,どこに出ても恥ずかしくない「達人」の域に,かなり近いであろうと思われます(付言すれば,英語を高度なレヴェルに引き上げることは,フランス語やドイツ語などの西洋言語を学習する際にも,必ずプラスに作用すると考えます)。
 そのような「本物」の素材に真っ向勝負を挑むという本演習の趣旨を理解した上で,参加者の積極的な学習を望む次第です。参加を希望される方は,必ず事前に図書館等で“The Economist”を手に取り,その内容のレヴェルを確認した上で,参加するか否かを決めて下さい。
 本演習の内容に関して不明な点があれば,小島(電子メールのアドレスは,kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)までお尋ね下さい。
過去の授業評価アンケート