法政基礎演習1(コアセミナー)

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習1(コアセミナー)
標準年次
1
講義題目
安全な住居で暮らす方法
開講学期
前 期
担当教員
原田 大樹
単位数
2単位
教  室
307
科目区分
基幹教育科目
履修条件
ゼミ活動に対する情熱とやる気をもっていること。
法学部に入った動機が積極的なものか消極的なものかは問いません。大学で一生懸命勉強したい,でもどうやって勉強したらよいか分からないという方の参加を歓迎します。
授業の目的
(法政基礎演習Tの共通目標)
この法政基礎演習Tは,4年間,法学部で法学や政治学を学ぶのに必要な下記3点のことを学ぶことを目的にしています。
(1)発表のやり方について学ぶこと
いわゆる「プレゼンテーション」と呼ばれる大学での発表のやり方を学びます。発表の際に利用する資料の作り方も含みます。
(2)議論のやり方について学ぶこと
いわゆる「ディスカッション」と呼ばれる,大学での議論のやり方を学びます。的確に質問し,質問に応答できるようになること,さらに議論を手際よく進めるための司会のやり方も含みます。
(3)レポートのつくり方について学ぶこと
大学では,高校までに経験しなかった量の,しかも多くのレポートを課題として書く機会が増えます。その準備として文章で自分の主張を表現するための技術を学びます。

(この演習の目標)
分譲マンションにせよ一戸建てにせよ,自分の住居を購入することは多くの人にとって人生最大の買い物です。しかし,昨年の秋から日本を震撼させている偽装マンション問題では,失敗が許されないはずの住居の購入に大きな落とし穴があることを改めて印象づけました。なぜこのような問題が発生したのでしょうか。私たちはどうすれば安全な住居を手に入れることができるのでしょうか。そのためにはどのような法的なしくみがあればよいのでしょうか。本演習では,偽装マンション問題を素材に「安全な住居で暮らす方法」を法律学・政治学の観点から幅広く検討します。
上記のプロセスを経ることで,大学時代に是非身につけておきたい知的生産の方法を体得することが,本演習の真の目的です。具体的には,@プレゼンテーションの方法(レジュメの作成方法を含む)A議論の方法B論文の書き方,の3つの技術をゼミ活動の中で会得してほしいと考えています。大学で法律学を勉強する上では,ある課題に対する自分なりの正解を考えるために広く情報を集め,活字と格闘し,検討し,議論するプロセスが必須です。さらに,ある程度まとまった長さの文章を論理的に組み立て,自分の言葉で表現する能力も高めてほしいと思います。これらは将来どの分野に進んだとしても必要な技術だからです。本演習が,氾濫する情報の中からものごとの真相を捉える力を養う契機となれば,と考えています。
授業の概要・計画
本演習では前半の1/3をオリエンテーション期間とし,主として法律学の基本的用語・考え方・勉強方法などを対話形式で学びます。後半2/3はゼミ報告期間とし,ゼミ生の報告と討論を通して「安全な住居で暮らす方法」を検討します。

○オリエンテーション期間
[第1回]法律学への招待
自己紹介の後,入学直後のみなさんが抱いている法律学に対するイメージや疑問を出発点にして,これからの4年間に法学部で法律学を学ぶ意味について考えます。
[第2回]法学入門
法律学の全体像はどうなっているのか,法律学の基本的な考え方はどのようなものなのかを学びます。あわせて法律学の勉強に必要な道具(例:六法・判決文・基本書)の使い方を実習形式で身につけてもらいます。
[第3回]法律学の勉強方法 @演習
演習形式の授業を受ける際に必要となる技術,具体的には情報収集の方法・情報分析の方法・プレゼンテーションの方法について説明します。文系合同図書室(旧・法学部図書室)の見学や情報検索ツールの利用方法についての実習も行いたいと思います。
[第4回]法律学の勉強方法 A講義
講義形式の授業を受ける際に必要となる技術,具体的には予習や復習の仕方・講義を聴くポイント・ノートの取り方・定期試験における答案の書き方などについて学びます。

○ゼミ報告期間
[第5回以降]ゼミ報告
参加者数にもよりますが,最低1回はゼミ報告をしてもらいます。第3回ゼミで割り当てたテーマに従って報告してもらい,その後全員で討論します。
授業の進め方
[第1回]
自己紹介の際に,@法学部に入った理由 Aこのゼミを選んだ理由 B将来の希望進路 C教科書(民法の聴きどころ)の第T部(〜30頁)を読んで疑問に思ったこと の4点を含むスピーチをしてもらいます。即興で考える自信がない場合は予め何を話すか考えておいてください。
[第2回]
教科書の第V部(70頁〜)を熟読して来てください。
[第3回]
偽装マンション問題に関して最も自分の興味を惹いた新聞記事・雑誌記事の全文コピーを用意してください。基本的にはここで選択した記事が以降のゼミ報告及びゼミ論文のテーマとなります。そして,その記事の要約とその記事を読んで思ったこと・考えたことをA4で1枚(約1500字)のレポートにしてください。要約と私見とは半々の分量にします。ゼミでは新聞記事のテーマを発表してもらい,それをベースにゼミ報告テーマとスケジュールを割り振ることにします。レポートは提出してもらい,(最短で)次回に添削したものを返却します。
[第4回]
教科書の第U部(32〜67頁)を熟読して来てください。
[第5回以降]
報告者はレジュメを作成し(レジュメは報告1週間前のゼミで配布します),これに基づいて報告(30分)を行います。その後,全員で報告内容に関して討論します。報告者は,ここで出された質問や意見をベースに検討を重ね,報告から2週間以内に中間論文を提出します。中間論文は添削して返却するとともに,必要に応じて参考文献等を案内します。最終的には,学期末(8月中旬頃)までに報告課題に関するゼミ論文を執筆します。
教科書・参考書等
オリエンテーション期間における教科書として
米倉明『民法の聴きどころ』(成文堂・2003年)(\1,680)
この他の参考書についてはゼミの中で紹介します。
成績評価の方法・基準
平素のゼミにおける状況(無断欠席した場合には,以降のゼミ出席は認めず,単位認定しません),提出物(レポート・中間論文),ゼミ報告及びゼミ論文により評価します。
その他(質問・相談方法等)
質問は随時受け付けます。とくに各自の報告・論文課題に関しては積極的に質問してください。また,討論の際には,どんな意見でもよいので,一日一発言してください。

本演習は学部3・4年生対象の行政法演習(大橋ゼミ)と協力しつつ運営されます。具体的なジョイント・プログラムの内容については現在検討中です。

大学時代の4年間は人生の中で最も能力が伸びていく時期の一つです。本演習の要求水準は高いかも知れませんが,意欲溢れる方々の参加をお待ちしています。
過去の授業評価アンケート  2005年度前期(法政基礎演習2)