行政法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
行政法演習
標準年次
3・4
講義題目
行政資源管理法研究
開講学期
通 年
担当教員
田中(孝 男)
単位数
4単位
教  室
206
科目区分
展開科目
履修条件
 行政過程論(行政法T)についてある程度の知識があることを前提とした授業運営をします。行政学、地方自治法、財政学、複式簿記、組織論・経営管理論(学)の知見があると、授業を受けることが楽になると思います。
授業の目的
 行政活動は、ヒト・モノ・カネ・情報という行政資源の総合的な管理活動といえます。この授業は、通常の行政法教育ではカバーしない、行政組織法分野の日本語文献を読解することを目指すものです。ただ、これまでの組織法の研究は、これら行政資源の総合的な管理という点からの法体系を構築していなかったように思います。そこで、このような問題意識から、通常扱われている行政組織法の枠にとどまらない「行政法」分野の研究として、行政資源管理法というタイトルを付しました。また、テーマが広汎になるため、授業ではさしあたり自治体(地方公共団体)を対象にした行政資源管理法を扱いたいと思いますが、受講者のニーズによって、読むべき文献において、国の機関等に関する行政資源管理法制の文献を選択することがあるかもしれません。
授業の概要・計画
 前期は、わたしの考える、行政資源管理法の体系の一部を構成する関係資源管理法制に関する基本文献(ただし、伝統的な行政法学に限りません)を読み、基礎的な知識を習得します。なお、従来の行政組織法については、国・地方共通の法原理もあるので、国も含む行政組織法の文献を読みます。
 後期は、受講者の最終的に作成・提出していただく予定のレポートのテーマに関連する、行政資源管理に関する判例研究・専門文献購読を行います。
 授業の進捗によって、基本書の読み込みが遅れるかもしれません。
 受講者のニーズにあわせて、可能であれば、行政現場の調査などを行いたいと考えています。
 日本語の文献を読むので、外国文献とは異なり、指定文献は、相当のハイペースで読んでいきます。また、「公会計法」の文献理解の前提として、複式簿記の基本的な知識を、初学の方にあっては、1〜2週間で自習していただくことも、プログラムに組み込まれます。
授業の進め方
 前期は、各講義回に読む文献について、あらかじめ、範囲を割り当てます。割り当てられた担当者の方は、当該箇所を要約して、報告をします(40分程度)。報告後、当該箇所について、受講生が報告者に質問し、報告者が答えます。質疑がなくなれば皆さんが関係箇所を理解しているということになると思いますので、私から、受講者に質問します。
 後期は、夏休み中に各自最終提出するレポートのテーマを選び、論文の構想報告をします。この報告は、パワポ又はOHP等の使用による、プレゼン形式でしたいと思います。報告者には、単に論文構想・文献研究をすることだけでなく、社会に出ても必要となるプレゼンに関する基礎も習得していただきたいと思います。なお、テーマ選定後必読文献を私が指定し、報告まで2〜3週間かけて論文を読んだり論文構想を練っていただいたりしていきます。
 最終的には、ある程度長文のレポート提出をしていただきたいと思います。
 なお、受講者の進路希望を踏まえ、研究対象の政府組織を、国の行政機関とするか地方公共団体とするか、どちらを重点的にみていくかを、決めたいと思います。
教科書・参考書等
前期読了を予定する文献については、ゼミ内容と受講者ニーズを精査して速やかにお伝えします。イメージ的には、少なくとも、次が前期レベルで読もうとする文献の水準になります。
(1)ジュリスト『行政法の争点[第3版]』8〜13章(ローマ数字)の全34項目、(2)宇賀克也・大橋洋一・高橋滋『対話で学ぶ行政法』12〜15章、(3)吉田寛『公会計の理論』東洋経済新報社(受講者の能力を踏まえ、桜内文城『公会計』NTT出版に変更する可能性あり)
 また、各種試験を考慮し、最低、藤田宙靖『行政組織法』有斐閣、2005年とその対立軸を示す基本文献は読み込みます。
 
成績評価の方法・基準
出席、ゼミでの発言、レポートの提出状況と内容によって、評価します。
その他(質問・相談方法等)
この演習は、(1)ロースクールで展開しにくい行政組織法をカバーすること、(2)公務員になった者には政策遂行のためにトータルな行政資源管理能力が求められることから公務員志望者にアドバンテージのある行政資源管理法スキルを得ていただくことを目標にして設計しています。3年生でしたならば少しハードな水準の予習が必要になる授業を展開します(それでも、行政資源管理を構成する重要な要素である税法、公企業法は、カバーできません)。
 なお、わたしの考える行政資源管理法の序説については、2006年1月17日(火)、その日4限目に2005年度行政法ゼミを行った後、5限目相当時刻(午後5時過ぎ〜)に、ゼミで使った303教室において引き続き、30分前後のプレゼン・ガイダンスをしたいと思います。関心がある方、お立ち寄りいただければと思います。
過去の授業評価アンケート