日本復帰までの戦後27年間、米軍統治下の沖縄は、住民の暮らしに直結する経済活動(政策)もまた米側に規定されてきた。対ドル為替レートを日本本土と沖縄とで違えるなど、米側は輸出産業の振興で経済復興を促した本土に対し、沖縄では米軍基地建設と輸入経済で復興を図る二元政策をとった。東西冷戦の勃発から日本を自由主義陣営の一員として強化する一方で、極東アジアの軍事上の安定を沖縄に求める米戦略があり、「基地と経済」の密接な関係があった。 復帰後、沖縄は日本経済の枠組みに入ったが、戦後60年たった今も経済的自立を支える産業振興の基礎的条件の差異や、在日米軍専用施設の75%が集中する基地依存の実態が現存し、沖縄経済の歪みにもつながっている。 沖縄経済を通して浮かび上がる日米関係、米軍基地問題を振り返りつつ、新たな基地返還が予想される米軍再編の動きも連動させて沖縄経済や経済政策のあり方を考察する。
|