履修条件 |
特になし |
授業の目的 |
いわゆる「グローバル化」の進む現代世界において、国民国家体制やナショナリズムを取り巻く諸問題を多角的に理解する視野の獲得が目的である。具体的には、自由民主主義的諸理念(自由、平等、民主主義、社会正義、国際協調など)、および文化や伝統の維持や発展、あるいは多文化共生という観点と照らして、国民国家やナショナリズムの是非を理論的に論じられるようになることを目標とする。 |
授業の概要・計画 |
授業は主に、90年代以降、英語圏で盛んになっている「リベラル・ナショナリズム論」を紹介し、検討を加えていくというかたちで進めていく。具体的には、下記のタミールの翻訳書やミラーの著作を参照し、国民国家やナショナリティと自由民主主義の諸理念との関係を理論的に説明していく。また、この理論的枠組みを通じて、日本の国民国家形成や現在の日本のナショナリティのあり方についても考察を加えたい。 正確な授業計画は、第一回目の授業時に説明するが、現在のところ、以下のようなトピックを扱う予定にしている。
1. 序 2. グローバル化のなかの国民国家 3. 国民国家、ナショナリズムの歴史 4. ナショナリティ、エスニシティ、ステイト――概念の整理―― 5. ナショナル・アイデンティティをどのように理解するか 6. ナショナリティと自由民主主義的諸理念 (1)福祉国家との関係 (2)民主主義との関係 (3)自由との関係 7. リベラル・ナショナリズム論と多文化主義 8. リベラル・ナショナリズム論とコスモポリタニズム論 9. 世界秩序構想と国際援助 10. 非欧米世界とナショナリティ 11. 現代日本とナショナリティ (1)現代日本の不安定なナショナリティ (2)現代日本におけるナショナリティをめぐる議論 (3)安定したナショナリティを目指して 12. まとめ |
授業の進め方 |
基本的には、パワーポイントのスライドを使いながら講義するという形式で進める。受講人数によるが、適宜、質疑応答や議論の時間もはさむつもりである。 |
教科書・参考書等 |
●Y・タミール/押村高ほか訳『リベラルなナショナリズムとは』(夏目書房、2006年) ●D. Miller, On Nationality (Oxford UP, 1995) (邦訳は、前期中には出る見込み)。 ●D・ミラー/山岡龍一ほか訳『一冊でわかる 政治哲学』(岩波書店、2005年) ●施光恒「リベラル・ナショナリズム論の意義と展望――多様なリベラル・デモクラシーの花開く世界を目指して――」(萩原能久編『ポスト・ウォー・シティズンシップの構想力』慶應義塾大学出版会、2005年所収) ●D・A・ベル/施光恒・蓮見二郎訳『「アジア的価値」とリベラル・デモクラシー――東洋と西洋の対話』風行社、2006年
(そのほかの参考書は、授業中に適宜示す)
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成績評価の方法・基準 |
出席(不定期で3,4回)、レポート、テストで総合的に評価する。それぞれの割合は、受講者の人数によるので、授業中に説明する。 |
その他(質問・相談方法等) |
研究室は六本松なので、質問や問い合わせは、授業中や授業後に直接、あるいはメールで。 |
過去の授業評価アンケート |
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