履修条件 |
特にありません。 |
授業の目的 |
現在日本が密接な関係を有している中国の法制度についての正確な知識がこれほど求められている時代はないと言えますが、他方でその正確な知識の獲得は様々な要素によって阻まれているということもできます。法制度それ自体の目まぐるしい変化もさることながら、我々の安易かつ勝手な先入観が問題を引き起こすシーンも決して珍しくはありません。 この講義では、日本法とは根本的に異なる法制度として、中国法の前提を一つ一つ抑えながら、中国が直面する問題についての認識を深めていくことにしたいと思います。また台湾・香港の法制度についても言及します。 中国という社会を短絡的に捉えるのではなく、正確な情報に基づいて自分自身の力で粘り強く考え続けていくための基礎を固めることを目的とします。 |
授業の概要・計画 |
現代中国における主要な法制度を紹介するとともに、そのなかで我々が特に誤解しやすい問題について重点的に解説を行います。特に社会主義法という我々の制度とは異なる中国法の特徴については相応の時間を割くことになるでしょう。 現代中国法についての初歩的なリサーチ方法についても紹介し、基本的な調査能力を身につけてもらうことを目指します。 また昨今の実務との連携も視野に入れ、実務の世界へ踏み出すにあたっての基礎もしっかりと確認しておきたいと思います。 台湾・香港についてもその基本的な知識を提供します。 暫定的な内容は以下のとおりですが、参加者の希望に応じて修正を行う可能性もあります。
はじめに 中華人民共和国簡史/対象とする範囲 一 中華人民共和国法について 憲法 基本的性質と諸原理/国家機構/市民の基本的権利/法体系 民事法制 民法・経済法論争/民法通則/契約法(合同法)/ 物権法(草案)/会社法(公司法) 渉外法制 投資関係法制/渉外契約/紛争処理/仲裁 刑事法制 刑法(79・97年刑法)/刑事訴訟法(79・96年刑訴法) 諸法 行政法/家族法/労働法など 司法制度 裁判/検察/律師(弁護士) 二 台湾現行法について 歴史/憲法/政治制度/司法制度/法源論/ 民事法制/刑事法制 三 香港基本法について おわりに
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授業の進め方 |
レジュメ・参考資料などは配布します。通常の講義形式を取りますが、参加者の興趣によってはゼミ・討論などの形式も一部導入します。 中国法はただ教科書を読んで一通りのことを覚えたらそれで終わりというようなものではありません。講義でノートを取りながら自分自身で一つ一つよく考えるという姿勢で臨んでください。そのための質問は大歓迎します。 中国語は履修条件ではありませんが、これを期に始めてみたいという方は支援します。 |
教科書・参考書等 |
教科書として特に指定するものはありませんが、関心のある方のために以下の書籍を掲げておきます。これ以外のものについては講義の中で適宜紹介します。 木間正道・鈴木賢・高見澤磨・宇田川幸則『現代中国法入門〔第四版〕』(有斐閣・2006) 小口彦太・田中信行『現代中国法』(成文堂・2004) 北村一郎編『アクセスガイド外国法』(東京大学出版会・2004)のうち「中国法」部分 |
成績評価の方法・基準 |
試験により評価します。 |
その他(質問・相談方法等) |
質問のある方は講義終了後に受け付けます。また研究室を訪ねて下さっても構いませんが、不在の場合もあるのでなるべく前もって連絡してください。メールアドレスはh-nishiのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです。 |
過去の授業評価アンケート |
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