●コアセミナー(法政基礎演習1)

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●コアセミナー(法政基礎演習1)
標準年次
1
講義題目
法学・政治学(社会科学)を学ぶための「ジョギング」
開講学期
前 期
担当教員
出水 薫
単位数
2単位
教  室
4研
科目区分
基幹教育科目
履修条件
1.法学や政治学(社会科学)を学ぶための「マラソン」(大学生活)に備え、「ジョギング」で基礎体力をつけたいと思う人。

2.日本社会の「現在」(現代史を含む)を学び、考えたい人。

3.高校までの歴史学習体験の有無や、得意・不得意は関係ありません。「社会科学力」をつけたいと思う関心と「やる気」が条件です。
授業の目的
1.「ウロコ」をつけよう!

高校までの「学習」は、ひたすら「体育会系」でしたね、多分。
「受験戦士」と化して闘い抜いてきたみなさんは、とりわけ「体育会系」でしょう。
知識(正解)を正確に「再現」するための技術・瞬発力をつけるための反復練習こそが、みなさんの接してきた「学習」だったのではないでしょうか。

しかし大学における「学問」の面白みは、何よりも「目からウロコが落ちる」体験でしょう。
馴染みのないものに驚き、あるいはみずから新しい視点を生み出していく。
「当然」と思っていたことがらが、まさに「ウロコ」のように剥がれ落ちる快感。

ただ最近、残念に思うのは、そのような快感を体験するための条件である「ウロコ」のつき方が乏しいということ。
新たに大学に入ってくるみなさんが、そもそも「ウロコ」をあまりつけていないのではないかと感じる点です。
そこで、このゼミ(大学での少人数双方向のクラスを「ゼミ」と呼びます)では、おせっかいにも?!みんなで「ウロコ」をつけあいましょう、という訳です。

ただ「ウロコ」にもいろいろあります。
すぐに剥げ落ちて「大学の快楽」を体感させてくれる「ウロコ」もあれば、むしろ優れたレンズに変身して、長くつきあうことになるような「ウロコ」もあるかもしれません。

いずれにしても、繰り返しになりますが、このゼミでは、大学での「学問」が面白くなるようになるため、学ぶ意欲を生み出す原動力としての「目からウロコが落ちる」体験のための「ウロコ」づくりに精を出すのが目的です。

もちろん「ウロコ」をつけるにしても、落とすにしても、それなりの「技術」が要ります。
高校までの「体育会系」の力技のみでは限界があります。
このゼミは、大学で学ぶために必要な「技術」習得の、最初の一歩を身につける場でもあります。
この点については、以下の法学部共通目標を参照してください。


2.コアセミナー(法政基礎演習I)の法学部における共通目標

 コアセミナー(法政基礎演習I)は、少人数でのゼミ形式により、以下の4点にわたる勉強の「フォーム」を体得することを目的としています。

(1)情報の集め方について学ぶこと
 法律学・政治学に関する先端的な問題には唯一の正解はありません。その中でバランスの取れた「解答」をつくり出すためには、幅広く情報を集める必要があります。図書館の使い方、文献の集め方、パソコンの使い方など、情報収集の方法を早く身につけておくことが、学習の第一歩です。

(2)情報の分析について学ぶこと
 法律学・政治学に関する著書・論文は、これまでに接した本などと比べても難解に見えるでしょう。これらを読み解くには、基礎的な知識に加え、「慣れ」もある程度必要です。こうした作業について、みなさんよりも長い経験のある教員からアドバイスを得ることで、情報の分析への入り口に立つことを目指します。

(3)議論の方法について学ぶこと
 法律学・政治学の大学における学習は、すでにできあがっている知識を単に覚えるだけでは不十分です。絶えず出てくる新しい問題に対応する新しい「知恵」を、あるいはむしろ新しい「問題」自体を、自らの手で生み出す必要があります。そのために欠かせないのが、議論することです。報告の方法、司会者の方法、討議への参加のやり方などを身につけてもらうことを目指します。

(4)自分の意見を文章にまとめる技術について学ぶこと
 法律学・政治学の学習では、最終的に自分の意見を「言葉」に、しかも説得的で、ある程度のまとまった長さの文章にして示すことが求められます。論理的である程度の量の文章を書く力は、大学における定期試験やレポート・論文を乗り切るためだけではなく、社会に出てからも役立つ技術です。この技術を習得する基礎を身につけてもらいます。
授業の概要・計画
1.初回はゼミの進め方や、準備のやり方などについての「ガイダンス」(説明会)をおこないます。

2.2回目以降は下記のテキストを使って、下記のやり方で進めていきます。
授業の進め方
1.下記のテキストを3週間(3回)に1冊の速さで読んでいきます。

2.ゼミは以下のようなパターンで毎回進めます。

(1)報告者がテキストの担当部分について資料(レジュメ)を用意し、内容を要約します。また理解しにくい点や、全員で意味を確認したい点を指摘します。

(2)コメント担当者が報告に関して質問などをおこないます。

(3)全員で議論します。

3.参加者はテキストを1冊読むごとに(3週間に1回)、テキストの要約と感想を2000〜3000字程度のレポートとして提出してもらいます。

4.このゼミでは、1年生の時に私とともに学んだ経験のある3年生が、一緒に加わってくれます。教員に聞きづらいことも気兼ねなく聞くことができますし、みなさんの先輩として、いろいろと助けてくれることでしょう。
教科書・参考書等
テキスト(教科書)は下記のとおりです。

小熊英二『日本という国』理論社
藤原保信『自由主義の再検討』岩波新書
阿部・天野・大日方編『男性史3 「男らしさ」の現代史』日本経済評論社
山口二郎『戦後政治の崩壊』岩波新書

※ゼミで直接はとりあげませんが、以下の本は読んでおくと、大学生活全般で役立つと思います。
野矢茂樹・植田真『はじめて考えるときのように』PHP文庫
成績評価の方法・基準
以下の基準で100点満点で採点します。「相対基準」は採用しません。60点以上に単位を認定します。

(1)出席率:15%
(2)報告回数と内容:25%
(3)議論での発言回数と内容:25%
(4)レポート:35%
その他(質問・相談方法等)
1.メーリングリストにより、連絡や情報交換をおこないますから、メールアドレスを準備してください。ただし長文や添付ファイルがあるので、携帯電話のメールではダメです。

2.質問はゼミのたびに受けつけます。またメールなどで予約をとった上で個別面談にも応じます。詳しくはガイダンスでお知らせします。
過去の授業評価アンケート