●コアセミナー(法政基礎演習1)

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●コアセミナー(法政基礎演習1)
標準年次
1
講義題目
政治学の古典を読む
開講学期
前 期
担当教員
木村 俊道
単位数
2単位
教  室
205
科目区分
基幹教育科目
履修条件
 思想・歴史・理論の観点から、じっくりと、人間や政治を理解したい方を歓迎します。
授業の目的
 本演習では、政治学の「古典」を、時間をかけてゆっくりと読みます。この作業を通じて、人間と政治に対する洞察力を養い、21世紀に生きる「市民」や「法曹」に必要とされる「人間的教養」や、「善き生」を営むための「わざ」を身につけることを目的とします。

 本演習では同時にまた、次のような学問的な「型」を修得することを目指します。
 (1)「古典」や「テクスト」を読み解く技術を身につける。
 (2)「歴史」の教訓を学び、「教養」を伸ばし、学問的な「センス」を磨く。
 (3)論理的に「ものを考える」ための訓練を積み重ねる。
 (4)学問的な「作法」を修得する(「授業の進め方」参照)。
授業の概要・計画
 歴史と格闘した古典は、学問的な思考を鍛えてくれるだけでなく、わたしたちが人格的に大きく成長するための「礎石」となります。本演習では、そうした人生の「稽古」に欠かせない古典として、次の2作品を通読します。

 (1)マキアヴェッリ『君主論』(1532)
 (2)中江兆民『三酔人経綸問答』(1887)

 (1)は、権力政治のデモーニッシュな側面をリアルに描き、国家存亡の危機を乗り越えるために必要な君主の<力量>とは何かを論じた作品です。人間や政治に対する鋭い洞察に圧倒されます。
 (2)は開国期の日本を舞台に、迫り来る西洋列強の脅威に対して、将来の日本が進むべき道を模索した作品です。民主主義や自由の理念、戦争の是非をめぐって、三人の酔客が激論を闘わせます。
授業の進め方
 毎回のゼミは以下のように進めます。
 (1)報告者を2名ずつ指名します。
 (2)報告者は、テクストの内容を「レジメにまとめ」、それを「発表」します。「コメント」も用意します。
 (3)その後、テクストの解釈や論点について、全員で「討論」します。

 また、テクストに関するレポートを2本作成し、講読の成果を確かなものにします。
 なお、本演習は「入門」ゼミであるため、とくに学問的な作法の修得に配慮します。授業の全体を通して、(1)発表の仕方(2)議論の方法(3)レポートの書き方を身につけることを目指します。
教科書・参考書等
 マキャベリ『君主論』、池田廉訳、中公文庫、2002年
 中江兆民『三酔人経綸問答』、岩波文庫、1965年

 村松茂美他編『はじめて学ぶ西洋思想−思想家たちとの対話』、ミネルヴァ書房、2005年
成績評価の方法・基準
 毎回の出席や報告・発表、授業への取り組み方、およびレポートの内容によって総合的に評価します。

その他(質問・相談方法等)
 現在、同僚の岡崎先生と一緒に『はじめて学ぶ政治学』(ミネルヴァ書房、2008年刊行予定)の編集作業をしています。初学者向けの政治学の古典案内です。演習と並行して、今年度の参加者の「生の声」を取り入れながら、本を作っていきたいと思っています。

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