履修条件 |
行政法I(行政過程論)を履修していること(単位取得の有無は問いません)。
この演習と並行して,前期に開講される行政法II(行政救済論)(田中孝男助教授・担当予定)を履修すること。 |
授業の目的 |
法学部卒業生が社会から求められている資質・能力には様々なものがあります。法律についての専門的知識もさることながら,問題を発見する能力,解答のない問題に対して解決の筋道を立てる能力,あるいは,様々な立場が社会には存在することを踏まえ,コンセンサス形成に向けた調整と説得を行う能力なども重要です。さらに,こうした過程の中で必須といえるのが,自分の考えていることを論理的に,口頭または文章で,わかりやすく相手に伝える能力です。これらは,法律専門職・民間企業・公務員・研究職など将来どのような進路を選択するにしても不可欠な資質・能力と言えます。
こうした諸能力を高めていくためには,演習(ゼミ学習)という勉強方法が最適です。講義形式の授業とは異なり,ゼミ学習では主人公はひとりひとりのゼミ生です。テーマを決め,情報を収集し,分析し,理解し,聞き手に親切な形で説明するというプロセスは,知識の創造にとって欠かすことのできないものです。ゼミ学習は単に知識を増やすことではなく,新しい問題に対して自分なりの解答を出すための「技術」を身につけることを重視しています。情報社会といわれる現代にあって,情報に流されず物事の本質を見抜く力,情報を自分の頭の中で加工して自分の見解を自分の言葉で表現できる能力を高めることが,この授業の目的です。 |
授業の概要・計画 |
前期は,行政救済法の基礎理論をめぐるテーマをいくつか選択し,ゼミ生による研究報告と質疑・討論を通して,行政救済法の理解を深め,そのフロンティアを探究します。行政救済論を並行して履修する3年生に配慮して,はじめに教員が行政救済法の基本的な構造について簡単に説明します。またグループごとの報告では可能な限り4年生を各グループに配置することとします。
後期は,例年通りゼミ論文を執筆します(過去にどんなテーマが取り上げられているかは,大橋ゼミのホームページで確認できます)。自分の興味・関心に応じてさまざまな情報ソースの中から調査をし,自分なりの解決策をまとめていく過程で,この授業の目的である諸能力の涵養を図っていきたいと思います。 |
授業の進め方 |
参加者がゼミ報告を分担して行い,それを素材にゼミ生全員で議論します。前期はグループごとの報告,後期は個人での報告を予定しています。 |
教科書・参考書等 |
前期のテーマに関連する基本書として,例えば, 塩野宏『行政法II 行政救済法[第4版]』(有斐閣・2005年) 宇賀克也『行政法概説II 行政救済法』(有斐閣・2006年) などがあります。こうした行政救済法の基本書を,春休みのうちに通読しておいてください(全てを理解する必要はありません)。この他の文献については,初回ゼミで詳しく説明します。 |
成績評価の方法・基準 |
ゼミ報告と,年度末に作成するゼミ論集の論文により評価します。無断欠席した場合には,以降のゼミ出席は認めず,単位認定しません。 |
その他(質問・相談方法等) |
前期は,大橋洋一教授にもご指導を頂く予定です。今年度より演習担当者は交代しますが,過去14期にわたる大橋ゼミの伝統を引き継ぎつつ,新しい試みにも積極的に挑戦したいと考えています。
大学時代の4年間は人生の中で最も能力が伸びていく時期の一つです。本演習の要求水準は高いかも知れませんが,意欲溢れる方々の参加をお待ちしています。 |
過去の授業評価アンケート |
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