履修条件 |
特にありません。 |
授業の目的 |
「伝統中国」という日本とは決定的に異なる社会のあり方について、主として清朝時期を取り上げながらその特質について掘り下げた思考を行うことを目指します。 またこうした秩序が変動を迎える清朝末期から民国時期にかけての近代法史、日本の植民地統治期の台湾についても概観し、それらを通じて日本人が中国の「法」と「社会」というものについてどのような思考をめぐらせてきたのか、という我々の中国認識とも無関係ではいられない諸前提についての考察の端緒をつかむことをも目途とします。 |
授業の概要・計画 |
清朝時期を中心とする中国社会の様相について、史料をできる限り多く紹介しながら具体的に紹介したいと思います。歴史の話ですが、その中の多くの要素が現代中国を考える際にも見過ごせない大きな問題を投げかけていることに気づかされるはずです。 近代法史、植民地法制についても紹介を行います。またそれと密接な関係を持ちながら展開した日本人の中国認識の歴史を省みることで、翻って新たな視角を獲得してもらうことを目指します。
暫定的な予定は以下の通りです。
はじめに 一 「伝統中国」の諸相 家族(同居共財/家産分割/分形同気/宗) 財産(売/典/押/租/「所有」のあり方) 社会(「共同体」論/会/合股/宗族と族産) 裁判(「裁判」の過程/「民事」と「刑事」/律例/成案/必要的覆審制) 二 中国近代法史−「近代法」との軋轢 清朝末期における法典編纂活動 中華民国期の立法と慣習調査活動 三 植民地と法−植民地統治下の台湾社会 四 中国法制史学の歴史 台湾/朝鮮/旧満州/中国大陸 現代法への示唆 おわりに
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授業の進め方 |
レジュメ・参考史料などは配布します。通常の講義形式を取りますが、参加者の興趣によってはゼミ・討論などの形式も一部導入します。 歴史史料は日本語に訳して紹介しますので、中国語(現代語・古文)はできなくても構いません。もしこうした史料に興味があって自分で読んでみたいという方は支援します。 |
教科書・参考書等 |
教科書は特に指定しません。興味のある方は、以下の書籍を参考に掲げておきますので、図書館などで適宜参照してください。これ以外にも必要に応じて講義の中で紹介します。 滋賀秀三『中国家族法の原理』(創文社・1967) 滋賀秀三『清代中国の法と裁判』(創文社・1984) 滋賀秀三『中国法制史論集 法典と刑罰』(創文社・2003) 滋賀秀三編『中国法制史 基本資料の研究』(東京大学出版会・1993) 島田正郎『清末における近代的法典の編纂』(創文社・1980)
以上はいずれも研究書です。簡単な入門書がない分野ですし、またその分野の中でもかなり先進的な範囲に分け入りますので、しっかりと講義を聴いてください。わからない箇所があればその都度遠慮なく質問して確認してください。 |
成績評価の方法・基準 |
試験により評価します。 |
その他(質問・相談方法等) |
質問のある方は大歓迎です。講義終了後に受け付けますし、また研究室を訪ねて下さっても構いませんが、不在の場合もあるので前もって連絡をお願いします。メールアドレスはh-nishiのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです。 |
過去の授業評価アンケート |
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