●法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
抵抗と合意作成
開講学期
前 期
担当教員
レビン小林 久子
単位数
2単位
教  室
209
科目区分
入門科目
履修条件
特別な条件はないが、学ぶことに学生らしい熱意があり、暗記ではなく、思考する楽しさを知っている、あるいは知りたいと思っている学生に向く演習である。だが、本演習で目指す思考とは、学生が個人として頭で行う思考だけではない。それに加え、クラス全体として行うタイプの思考、合意形成のための思考も求められる。クラスメイトと一緒にひとつの合意に向かって議論する楽しさを経験したいと考える学生の皆さん、どうぞこちらへ!
授業の目的
本演習は、3種類の目的を持つ。まず演習科目に共通する基本だが、本演習も学生が、読み、思考し、発表する能力を高めるための支援をすることを目的としている。加えて、本演習は、学生がそのような努力を楽しめることを願い、そのための工夫をし、開講された後には、現実に努力したいと考えている。例えば、本演習では、日本でよく実践されているディベートではなく、合意作成(コンセンサス作り)を学び、クラス全体として何をどう考え、判断するのか、多くの異なる意見を切り捨てるのではなく、まとめる方法を練習することを選んでいる。よって、学生が合意作りのテクニックとプロセスを学ぶことが本演習の目的の第1である。合意形成の技法は、学生が将来社会の中で生きていくうえで、必ず役立つものであり、社会が分断され、市民の孤立化が高まる現状を見るに付け、学生個人だけでなく社会のためにも有用なものであると考える。つぎに、いうまでもなく、意味のある議論をするためには、材料が必要である。そこで本演習では、議論の材料として「抵抗」を選んだ。紛争管理という研究分野ではすでに、紛争の原因としてあまりにも当然な「抵抗」だが、その概念、定義、種類について考えることは、多種多彩な意見を聞き、理解し、まとめていくことがなぜ大切か、世の中のすべての意見が意味を持つ、という見落とされがちな事実に、気づかせてくれると期待する。つまり、「抵抗」について基本的知識を得ることが第2の目的である。

そのうえで、議論を通じて、個々の学生が、自らの意見をまとめ、他者に向かって伝え,と同時に聴く作法を学ぶこと、これが第3の目的である。
授業の概要・計画
本演習は次のような計画によって進行する。だが、計画は計画であり、第6回ゼミで学生とともに見直しを行い、それによって変わることは大いにあり得る。

第1回 − オリエンテーション、自己紹介、活動(コンパや旅行)の種類と世話役決定、読む文献紹介と司会担当者の順番決定、合意形成の方法について担当教員の講義
    
第2回 − 抵抗について教員の講義

第3回から第5回 − 学生による議論と合意作り

第6回 − ゼミの見直し(全体討議と見直しのための合意形成)

第7回から第11回 − 学生の議論と合意作り

第12回 − まとめ、2冊の文献に対するクラスの合意形成、クラス評価
   
授業の進め方
本演習の講義は、クラス全体で行う合意形成と、そのための準備として各自が個人的に行うことの2種類に分かれている。

1−全員が2冊の本を読み、学期の終わりに各自ゼミ論文を提出する。1冊は中島梓著「コミュニケーション不全症候群」2冊目は、セオドア・ローザック著「対抗文化の思想」である。

2−教員が用意した抵抗に関する文献リストの中から、各自が毎週1冊(または本の部分を)読み、それについてひとつの合意を作るためにクラス全体で議論(プレゼンではない)する。合意形成のための司会者は英語では、キーパーとかファシリテイターと呼ばれているが、本演習では、毎回、順番に学生が担当し、合意形成の技法を練習する。他の学生は議論に参加することで文献の理解を深めることができる。

3−クラスの議論の前に学生は各自、その週議論する文献について1ページほどのレポートを提出する。

教科書・参考書等
本演習では、かなり多くの文献にあたる。その理由は、毎週のクラス全体の議論のために材料が必要だからであり、そのため、刺激的な内容を持つ本を選んでいる。

まず前述した2冊、中島梓著「コミュニケーション不全症候群」とセオドア・ローザック著「対抗文化の思想」がある。「コミュニケーション不全症候群」は生協ブックストアで購買可能、「対抗文化の思想」はクラス開講後コピー可能。

その他の毎週読む文献は、第1回目のクラスで決められる。すべての文献が生協で購買可能かコピー可能である。
成績評価の方法・基準
評価は3種類の要素を考慮して決められる。

1 毎回のレポート(1ページ9回程度) (40%)
2 クラスの出席と積極性       (15%)
3 最後のゼミレポート(4ページ以内) (45%)
その他(質問・相談方法等)
質問や相談は、毎クラスの後に受け付ける。メールや電話も随時受け付ける。
過去の授業評価アンケート