●法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
刑罰の現状と課題―社会の中の「刑務所」について考える
開講学期
前 期
担当教員
森久 智江  
単位数
2単位
教  室
303
科目区分
入門科目
履修条件
特にありません。演習開講当初の刑事法に関する知識の有無は問いません。
授業の目的
◆刑事司法全体を見通す上での多角的視点をもつこと
 今後、高年次において、捜査段階→裁判段階→刑罰執行段階という刑事司法全体に対する理解を深めていく前提として、その「出口」である刑罰の現状を具体的に把握し、分析・考察することにより、刑事司法における諸問題について、常に広い視野を持って見てみる姿勢を目指します。
◆問題にアプローチする能力を磨くこと
 本演習では、報告課題について議論するために、皆さん自身で様々なリソースを調査し、その分析・考察を行い、問題状況を「自らの問題」として捉えた上で、自己の意見を表明する能力を磨いていくことを目的とします。課題を「二次元的に」まとめるだけではなく、みなさんの「想像力」を発揮してもらい、問題状況に対する「立体的な」思考と意見表明を期待します。
授業の概要・計画
◆授業の概要―社会の中で「刑務所」はどのような存在だろうか?
 「刑務所」に対して、あなたはどんなイメージを持っているでしょうか?そこはどのような場所で、どんな人がいて、どのような生活をしているのでしょう?そして、刑務所から出たあとはどうでしょうか?刑務所は皆さんにとって「遠い存在」かもしれません。マスコミを通じて見える刑事事件は、裁判で判決が出されたら、そこで終結するように見えてしまうからです。しかし、犯罪行為を行った人やその被害を受けた人にとっては、判決はひとつの通過点に過ぎないのです。そこから、刑罰の執行が始まります。その舞台のひとつとなるのが「刑務所」なのです。
 2002年、名古屋刑務所における刑務官の受刑者に対する暴行事件の発覚をきっかけに、日本では法改正も含めた刑務所改革が行われてきました。その改革のスローガンは「国民に理解され、支えられる刑務所へ」というものです。果たして「国民」に「理解」され、「支えられる」刑務所とはどんな刑務所なのでしょうか?
 本演習では、文献や、ビデオ資料、施設参観等を通して、主に刑務所について多角的な視点から検討し、刑事施設を「遠い存在」ではなく、皆さんの社会の中に存在する施設のひとつとして、「社会の中の刑務所」はどのような機能を担っているのか、そしてどうあるべきなのかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
◆授業の計画
 計画は以下の通りですが、詳細は参加者との相談によって決めていきます。
第1・2回目はオリエンテーションとして、(指定テキストを読んでの皆さんの興味/関心も含めての)自己紹介、今後のゼミの進め方についてのご相談等を行います。担当教員から本演習のテーマとその意義について、また、報告にあたっての準備について説明を行います。また、第3回目からの報告の割り当ても決めます。
 第3回目からは、指定テキストから皆さんが選んだ問題をテーマに、それぞれに報告の準備をしてきてもらい、プレゼンテーションをしていただきます。その後、ゼミ生全員でそのテーマに関する議論を行う、という形をとりたいと思います。
 最後の回は議論の成果をもとに、皆さんに全員に演習の総括をしてもらいます。そこでさらに検討を深めてもらい、最終的にゼミレポートを提出していただきます。
また、いずれかの回で刑務所等の刑事施設の参観を行う予定です。
授業の進め方
 3回目以降は、基本的に、報告担当者それぞれの方のレジュメによる報告を受け、ゼミ生全員で議論を行います。報告担当者は、@事前にレジュメを他の参加者に配布すること、Aレジュメ中に担当テーマに関する参考文献を挙げることをルールとします。報告者以外のゼミ生の皆さんは、レジュメに目を通し、挙げられた参考文献を参照しながら、「自分なりの疑問点」や「自分なりの意見」を形成してゼミに臨んでください。
 報告担当者による報告時間は、約20〜30分程度とし、その後、全員で議論を行います。議論の際の司会も、報告者以外のゼミ生のどなたかに担当していただきます。なお、議論の際は、全員毎回一度は発言することを目標としてください。議論の最後には、報告者によるまとめをしていただきます。
教科書・参考書等
※指定テキストは、第1回のゼミまでに、必ず入手し、読んだ上で、自分が興味を持った部分や関心がある部分について考えておいて下さい。
指定テキスト:
浜井浩一『刑務所の風景』(日本評論社、2006)1,900円+税
※この他にも演習において随時お知らせします。
参考図書:
前野育三ほか『刑事政策のすすめ』(法律文化社、2003)2,300円+税
中川孝博/赤池一将『刑事法入門』(法律文化社、2006)2,400円+税
刑事立法研究会編『刑務所改革のゆくえ』(現代人文社、2005)2,000円+税
刑事立法研究会編『更生保護制度改革のゆくえ』(現代人文社、2007)2,500円+税
成績評価の方法・基準
@ゼミへの出席状況(20%)
Aゼミでの議論への参加状況(20%)
Bゼミでの報告(20%)
Bゼミレポート(40%)
この4つを総合評価の上で成績評価を行います。
その他(質問・相談方法等)
ゼミに関するご質問・ご相談・ご意見はメール(morihisa[あっとまーく]law.kyushu-u.ac.jp)で随時受け付けます。また、直接研究室(法学府第16研究室)にお越しいただいても構いませんが、事前にメールにてご連絡いただければ幸いです。
過去の授業評価アンケート