| 紛争のただなかにある当事者は、けっして理性的で自立的な「近代的人間」ではない。当事者は、思い悩み、衰弱し、依存を強め、ときに判断を間違える。しかしながら、その結末は自分で引き受けていかざるを得ない。不完全であっても、自分の問題は自分で対応せざるをえない「普通の人間」である紛争当事者が「自立」していくために、法や制度や法律家がどのような機能をはたしうるのだろうか。このような問題意識に基づき、特に現場感覚を失わないためにも経験的資料を適宜参照しながら、講義をおこなうことを予定している。講義全体は３部構成になっている。第１部では、動態的な法のとらえ方を設定した上で、わが国の司法改革ではどのような秩序構想のなかで法の位置づけがなされているのかを批判的に検討する。第２部では、弁護士、裁判官、司法書士について個別の検討をおこないながら、様々な場面で法律家制度がゆらぎをみせていることを概観する。第３部では、これまでの法律家の「手つき」による紛争処理に代わるものとして、当事者を前面に立てた紛争処理フォーラムとしての民事裁判の可能性を模索する。担当者の研究の進展状況により毎年修正・変更があるが、参考までに昨年の講義内容を記す。
第１部 紛争／秩序の動態理論
第１章 「紛争」概念をめぐって
第２章 日本社会の法化戦略
第２部 法専門職の臨界
第１章 弁護士論
第２章 裁判官論
第３章 司法書士論
第３部 訴訟機能と手続過程
第１章 訴訟機能論
第２章 手続過程論
第３章 裁判活性論
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