本講義は、日本においては明治期に初めて出現したリーガルプロフェッション(法専門職)について、その生成過程と社会での定着過程とを分析し、日本の法専門職養成の歴史的特質を明らかにすることを目的とする。具体的にはまず、(1)近代日本における西洋型裁判制度の形成とその特質、(2)裁判制度形成過程における実際の裁判の態様と法専門職との関わりについて理解を深め、次に、(3)欧米と日本とのプロフェッション概念の差異を検討しつつ、日本において前近代に裁判実務に携わった人々のあり方と近代以降の法専門職のあり方との違いを明らかにした上で、(4)明治期以降の法専門職制度の設計や教育・試験システムを学び(制度論+実態論)、法専門職制度の定着・発展過程を検討する。 本講義を通じて、日本のキャリア裁判官システムはいかにして形成されたのか、日本の弁護士の特徴の一つと言われている「社会正義」への拘り(依頼者利益の最大化よりも)がなぜ生まれたのか、弁護士法第72条の歴史的系譜等を理解し、これからの法律家の在り方を考える一助となるようにしたい。
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