●コアセミナー【法政基礎演習 I 】

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●コアセミナー【法政基礎演習 I 】
標準年次
1
講義題目
「中国」をどう考えるか
開講学期
前 期
担当教員
西 英昭
単位数
2単位
教  室
2研
科目区分
基幹教育科目
履修条件
 特にありませんが、教員から何かを与えられるのを待っているのではなく、積極的にこれを知りたい、これを議論したいという意欲のある方をお待ちしています。
授業の目的
 まずは大学における勉強の「仕方」の基本となる以下の点についてその技法を身につけてもらうことを目指します。

 (1)情報の集め方について学ぶこと
   インターネットを過信し、何か問題があれば適当にデータベースで検索しさえすればいいと思っている方はいませんか。そもそもどんなデータベースがあるかを知らなければそれは皆さんの「武器」にはなりませんし、またインターネットにすべての情報があるわけでもありません。まずは皆さんにとって必要な学術情報をどうやって集めるか、リサーチの方法について学びます。

 (2)情報の分析の仕方について学ぶこと
   大学での読書は、これまでの読書とは全く異なります。ただ漫然と読み流して、「面白かった」「つまらなかった」といった漠然とした感想を抱くだけではお話になりません。また書籍以外にも膨大な情報が氾濫する今日では、どうやってそれを賢くさばいていくか、が問われています。こうした情報分析の方法について考えます。

 (3)議論の方法について学ぶこと
   (1)(2)の作業を通して、次に自分の意見をどうまとめ、そして人に伝えるためにどうすればいいか、というプレゼンテーションの方法について学びます。またディスカッション・ディベートといった議論の作法・その基本的な構造についても学びます。議論というものはただ徒に相手と対立したり、自己の主張を押し通すためにやるものではありません。建設的な議論がいかに自分を高めるか、またそのために何をすべきかを考えます。

 (4)自分の意見を説得的に文章にまとめる技術について学ぶこと
   大学ではレポートや論文を書く機会が非常に多くなります。こうした文章の書き方には独特の「お約束」がたくさんあります。こうした基本的な作法を身につけてもらいます。「論文なんて学者だけが関係するのであって、企業に就職する予定の自分には関係ない」などと思わないでください。ここで身につけた作法は、実社会に出てからこそ役に立つのです。

 以上の基本的な作法を身につけて頂いた上で、皆さんの一番知りたいこと、について議論を行いたいと思います。フィールドは「中国(台湾・香港を含む)」に設定したいと思います。

 オリンピックイヤーを迎えた中国が空前の発展を遂げる反面、食品衛生問題や越境する環境汚染など様々な問題をかかえていることは皆さんご存知のとおりです。こうした隣国「中国」に関して私たちは、往々にして一定の先入観や感情論で一面的に論じてしまっている、ということはないでしょうか。氾濫する情報の中で、私たちは何をどのように認識していけばよいのでしょうか。このことを、「中国」を素材として考えよう、というのが本ゼミです。目標とするところは以下の諸問題です。

 (一)複雑なものを複雑に、批判的に考えること

 「中国」という素材についてのみならず、我々の社会に存在する様々な問題にどのように接していけばよいのか――その際にできるだけ物事を複雑に考える、という基本的な態度を取るということは必要不可欠なものです。それは今後の皆さんの勉学にとっても有用なものとなるでしょう。

 (二)外国法と日本法、そして国際化

 本ゼミは外国法という視野から翻って日本法を読み直すきっかけにもなるでしょう。皆さん自身が学問的作法をしっかりと身につけ、発信する能力を備えてこそ、国際化は初めて豊かな内容を持つことになります。
 また我々の社会と決定的に異なる社会を認識するということは、皆さんが今後しばしば直面せざるを得ない問題です。往々にしてそのような際、我々は無意識のうちに我々の基準で物事を判断していないでしょうか。では我々はどのようにすればいいのか、このことをじっくり考えて見たいと思います。

 (三)「法」、「法学」と隣接学問

 みなさんは勿論法学という学問を中心に4年間の勉学を行うわけですが、法学のみが学問ではありません。法学は他の学問分野とどのように連帯するのか、翻って法学とはどのような学問なのか、についても考えます。
 「法」というもの自体(「だってそこにあるじゃないか」と皆さんは言うかもしれませんが)我々の社会にとって全く自明のものではありません。また世間一般の「法」に対するイメージと皆さんが大学で学ぶ「法」の落差にもすぐに気づくことになるでしょう。まさに皆さんがこれから4年間学ぶ「法」というものを、少し大きな枠で考えて見る、ということも目指したいと思います。
授業の概要・計画
 初回に自己紹介とともに、皆さん自身がこのゼミに何を求めるか、何をやりたいか、ということについて述べてもらいますので、それまでに話す内容を整理しておいてください。
 初回以降数回は、上記「授業の目的」に述べた内容を皆さんに理解していただくために私のほうで解説を行います。ただ誤解していただきたくないのは、授業形式で皆さんはただ聞いていればよいと言うものではないということです。実際に手を動かして体験してみないことには学問の作法は身につきません。
 その後は皆さん各自に発表・討論を行ってもらいます。当日の司会も皆さんの中から選ぶことにします。他人の発表は興味がないし特に意見もないから黙って聞いているだけ、などということではなく、積極的かつ建設的な議論を行うよう心がけてください。
 なお数回はゲストスピーカーも招いて様々な話題を提供してもらうことにします。
授業の進め方
 すべては皆さんの積極性にかかっています。ゼミを面白くするのもつまらなくするのも皆さん次第です。
 上記のとおり、最初数回は私のほうで初歩的な内容についての解説を行います。図書館やデータベースの使い方を説明するためにゼミ室を離れて図書館ツアーを行うという回も設けたいと思います。
 中盤以降は、実際に学んだ技法を生かして皆さん自身に発表・討論を行ってもらいます。司会も皆さんから選びます。建設的な議論を行うためにどうすればいいか、それぞれの役割を考えながら参加してください。毎回の役回りについても皆さんの合議により決定します。
 「今回は自分の発表じゃないから関係ないや」、というような消極的な態度はとらないでください。毎回自分が主役、ぐらいのつもりで参加してください。
 また見学旅行などの課外活動についても、皆さんの主体性により決定します。希望のある方は積極的に提案してください。
教科書・参考書等
 特に指定しませんが、必要に応じてゼミのなかで文献を紹介します。
成績評価の方法・基準
 出席は大前提です。病気等止むを得ない事情で欠席する際は必ず連絡をお願いします。出席に加えてゼミでの発表の内容、また討論への参加の度合いなどを判断します。またゼミの最後にはレポートを書いてもらいますので、これらを含めて総合的に判断します。
その他(質問・相談方法等)
 質問はゼミ中は勿論ゼミ終了後にも受け付けます。メールでも構いません(アドレスはh-nishiのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです)。また研究室を直接訪ねてもらっても構いませんが、不在の場合もありますので、できれば事前に予約をお願いします。
過去の授業評価アンケート