履修条件 |
特になし。 |
授業の目的 |
国際的企業(多国籍企業と呼ばれることもある)は「ヒト(経営者・技術者の派遣)」「モノ(製品・技術の売買)」「カネ(投資)」の資源を駆使して国際化しグローバル化されたビジネス活動を営んでいる。国際ビジネス活動は、大きな視野から見た企業戦略の他に、事業企画、商品企画、技術、製造、販売と営業、財務、経理、税務、人事労務、知的財産、法務といった様々な個別側面から構成されている。法的側面からの分析・検討もその中で非常に大きなウェイトを占めており、法律という一見した地味なイメージからは想像できないようなダイナミックでわくわくするような要素を含んでいる。いわゆる「企業法務」は今や一昔前の単なる紛争処理係から、企業のビジネス戦略のあらゆる局面で不可欠の存在へと変貌しているのである。 本授業では、国際企業法務を理解するために、国際ビジネスに関連して発生する国内外の多様な法律・契約問題、通商摩擦、個別紛争の実態とその解決のメカニズム及び適用される法令を学んでいく。これによって国際的な企業活動、国際取引において発生する多種多様の法律問題の実態とその解決法を単なる理論に終わらず現実に即した形で理解していくことを目的とする。 |
授業の概要・計画 |
国際ビジネス取引にかかわる法律問題の理解には、単なる法理論の学習だけではなく、実際上のビジネス活動の理解と多様な法律及び契約に関する問題の理解が必要となる。担当教員は(株)東芝の法務部において長年にわたる法律問題対処の実務経験を持つスペシャリストであり、その経験を最大限に生かしながら講義を進めていく。 具体的には、国際市場における「経済紛争、通商摩擦の理論的研究と事例研究」「WTO(世界貿易機関)の協定及び事例の研究」「個別通商法(アンチダンピング、相殺関税、セーフガード、投資規制等)の研究」「独占禁止法」「製造物責任」「国際紛争の解決(陪審やクラスアクションといった米国裁判制度も含む)」「企業の海外投資、海外進出と撤退に関する法律問題」「企業の各種提携(いわゆるM&A)に関する法律・契約問題」「技術と知的財産に関する問題(ライセンス契約の実務を含む)」「各種契約に関する問題」等を扱っていく。 また、現実の企業実務の世界では海外案件を扱う場合にも国内案件処理の能力と日本法に関する知識は不可欠である。従って、本講義では必要な範囲で独占禁止法などの日本法も取り上げていく。それに加えて、国内案件であるか国際案件であるかを問わず、日々現実に発生している様々な形の企業法務関連の話題も適宜紹介しながら授業内容との関連も指摘し、できるだけ企業実務に即した形で授業を進めていきたい。 具体的な授業計画については授業の中で説明する。 |
授業の進め方 |
原則として教科書に沿って進めるが、必要に応じて資料を配布する。また、国際問題に限らず内外の企業法務に関わる話題を適宜とりあげ、トピックスについて新聞記事などを使用する(いわゆる企業不祥事を含む)。例えば、最近の話題で言えば、白い恋人・赤福・船場吉兆と続いた食品に関する偽装の問題、製紙業界の古紙配合率偽装の問題、元社長に有罪判決の出された三菱自動車の欠陥隠しの問題、ブルドックソース・サッポロビール等の敵対的企業買収の問題、ブリヂストンによる海外公務員へのわいろ提供の問題、入札にかかわる談合(特に官製談合)の問題、企業技術者の発明への報酬をめぐる職務発明の問題など話題性のあるものをその都度取り上げて触れるようにつとめる。 |
教科書・参考書等 |
木棚照一・中川淳司・山根裕子「プライマリー国際取引法」法律文化社 |
成績評価の方法・基準 |
筆記試験を行う。 |
その他(質問・相談方法等) |
企業活動に関わる法律・契約問題を理論と現実の両面から考えていく場としたい。法科大学院に進んで企業法務(外部弁護士又は企業内弁護士)を目指す人にとって有益な授業とすることは当然であるが、それだけでなく企業法務の職につかなくても、企業で営業職をも含むさまざまな職務を行うにあたって最低限の法務知識と法務的なものの見方を身につけておくことは非常に重要なことであると考える。そのような実務的な法知識を持った人を育てることにも貢献していきたい。 |
過去の授業評価アンケート |
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