民事訴訟法 I・II 【民事訴訟法】

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
民事訴訟法 I・II 【民事訴訟法】
標準年次
3・4
講義題目
民事訴訟法(判決手続)概説
開講学期
前 期
担当教員
鶴田 滋
単位数
4単位
教  室
302
科目区分
基盤科目
履修条件
 金曜4限に開講される「民事訴訟法U」を必ず同時に履修すること。単位認定も「民事訴訟法T」「民事訴訟法U」を一括して行う。
 水曜1限の「民事訴訟法T」の授業で話したことの続きは、同じ週の金曜4限に開講される「民事訴訟法U」の授業で話すことになるので、気をつけること。
 
授業の目的
 たとえば、AがBに500万円を貸したが、Bは約束していた期限になっても500万円を返済しない場合、Aは何をすることができるだろうか。この場合、民法によれば、AはBから500万円を国家権力(裁判所)により強制的に取り立てる権利をもっていることになる。しかし、これはあくまでAの言い分であって、Aが現在このような権利を本当に持っているのかどうかはわからない(実はAはBにお金を貸していないかもしれないし、BはすでにAに債務を弁済しているかもしれない)。そこで、Aは訴えを提起して、審理の結果、裁判所の判決によりAの権利が存在するかどうかを確定してもらうことができる。この手続を(狭義の)民事訴訟(判決手続)という。さらに、BがAの言い分を認める確定判決に任意に従わない場合には、Aはこの判決(債務名義)に基づいて強制的にBの財産から500万円を取り立てることができる。この手続を強制執行という。
 本講義は、以上のような私人の権利を保護・実現するための一連の手続(広義の民事訴訟)のうちの、判決手続を規律するルールや原則を概説することを目的とする。
 私法上の権利の保護と実現に資する最も基本的な法である民事訴訟法を理解することは、他の手続法を理解するためにも重要である。それのみならず、訴訟法を理解することにより、実体法の役割についても理解をさらに深めることができるようになると考える。
授業の概要・計画
 講義は概ね次の順序で行う(1つの項目を1コマで行うわけではない)。
1 民事訴訟の意義と目的 他の民事紛争処理制度との関係
2 判決手続概観(民事訴訟の構造、基本原則、手続の流れ、本案と訴訟要件の違いなど)
3 訴え、訴訟物、訴訟物に関する訴訟要件
4 裁判所、裁判所に関する訴訟要件
5 当事者とその代理人、当事者に関する訴訟要件
6 処分権主義・弁論主義と釈明権
7 証明責任とその周辺
8 判決によらない訴訟の終了
9 終局判決とその効力、再審
10 複数請求訴訟
11 多数当事者訴訟
12 上訴

授業の進め方
 基本的には、教科書の内容に沿って(ただし、教科書の叙述の順序どおりには進まないことに注意されたい)講義する。ただし、場合によっては配布したレジュメに沿って講義することもある。
教科書・参考書等
教科書
松本博之=上野泰男『民事訴訟法(第4版補正版)』(弘文堂・2006年)

参考書
伊藤眞=高橋宏志=高田裕成編『民事訴訟法判例百選 〔第3版〕』(有斐閣・2003年)
中野貞一郎『民事裁判入門(第2版補訂版)』(有斐閣・2006年)(判決手続の大まかな流れを知りたい場合には、本書の通読を強く勧める)
伊藤眞『民事訴訟法(第3版再訂版)』(有斐閣・2006年)
中野貞一郎=松浦馨=鈴木正裕編『新民事訴訟法講義(第2版補訂版)』(有斐閣大学双書・2006年)
新堂幸司『新民事訴訟法〔第3版補訂版〕』(弘文堂、2005年)
その他、最新の参考書が出版されていれば、講義の際に紹介する。

成績評価の方法・基準
 成績は基本的に定期試験のみで評価する。ただし、講義の中で、理解度を確認するために、質問票を配ったり、小テストまたはレポートを課すことがありうる。この場合、これらの提出状況等をも考慮して成績を評価する。
その他(質問・相談方法等)



【学務委員会注】
この科目は、民事訴訟法Tと民事訴訟法Uを合わせて4単位の成績認定を行いますが、卒業要件としては、前者は基盤科目2単位、後者は展開科目2単位として扱います。
過去の授業評価アンケート