●租税法

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●租税法
標準年次
3・4
講義題目
租税法概論
開講学期
後 期
担当教員
渡辺(徹 也)
単位数
2単位
教  室
102
科目区分
展開科目
履修条件
特になし。下記「その他」を参照。
授業の目的
 租税法の基礎理論を学ぶ。その場合、租税法固有の考え方だけでなく、憲法、行政法、民法、商法等と租税法がどのように関わり合っているかについても触れる。授業では、租税法規の解釈論だけでなく、国の立法政策と租税法の関係についても学ぶ。そこでは、既存の税法を変更したり、新しい税制を導入することが、経済活動にどのような影響を与えるかについても考える。技術的な税額計算については扱わない。したがって、履修にあたり簿記・会計の知識は特に必要としない。
授業の概要・計画
 詳しくは初回の授業で指示するが、いわゆる「租税法序論」および「租税実体法」と呼ばれる部分を扱う予定。租税実体法では、特に法人税を中心に講義を行う。
 具体的には、税法律主義、租税平等主義、税法の解釈、租税回避行為、仮装行為、違法所得、企業課税と個人課税、事業体の種類と課税方法、法人所得の計算、出資と分配、組織再編税制などを中心に取り上げる。
 二単位の授業なので、細かい論点には触れず、できるだけ租税法の基礎や法人税法の概略が理解できるように説明していく。また、時間の許す限り、最近のトピック、例えば、ストック・オプション課税、信託税制、リース取引、三角合併、地方税改革などについても、取り上げていきたい。
授業の進め方
 原則として、テキストの内容を中心に双方向授業を行う。受講生は自らの考えについて、積極的に発言して欲しい。例えば、違法所得に関する課税については、次のような論点について議論する。
 泥棒が宝石を盗んだ場合、それは所得になるだろうか。所有権が移転していないから、所得ではないと考えてよいだろうか。もしそうなら、まじめに働いて稼いだ給料には課税されて、違法に獲得した金品には課税されないことになるが、それでもいいのか。それでは、違法な行為を税制が奨励することにならないか。
 反対に、もし課税できるとすれば、泥棒にも申告義務があると解してよいか。それは憲法38条1項に反しないのか。窃盗以外の違法所得、例えば、横領、賭博、売春、麻薬売買によって獲得した所得についても同じような問題があるだろうか。
 たったこれだけのことを考えてみても、税法が憲法や民商法と関わっていることがわかるであろう。誤った内容でも減点の対象にはしないので、安心して自らの意見を述べて欲しい。
教科書・参考書等
教科書:岡村忠生・渡辺徹也、高橋祐介著『ベーシック税法(第3版)』(有斐閣)参考図書:清永敬次著『税法(第7版)』(ミネルヴァ書房)、金子宏他著『税法入門(第5版)』(有斐閣)、『租税判例百選(第4版)』(有斐閣)
成績評価の方法・基準
 主として学期末試験により評価するが、授業への参加態度も評価の対象とすることがある。
その他(質問・相談方法等)
学部生には、まだ税法について予備知識のない者が多いと思われる。税に対する日頃の疑問を授業で解決するくらいの気持ちで、肩肘張らず、気軽に発言して頂きたい。
 将来、弁護士(法科大学院進学を含む)、税理士、公認会計士、国家公務員(財務省や国税庁勤務)等になることを考えている学生は当然であるが、今期は法人税を中心に取り上げるので、企業への就職を考えている学生の受講も歓迎する。もちろん、単に「税金と世の中の関係」について、興味があるだけの学生の受講でも構わない。
 質問は主として授業の後に受け付けるが、メールやオフィスアワーの使用も当然に予定している。
過去の授業評価アンケート