◇憲法 I 【統治機構論】

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
◇憲法 I 【統治機構論】
標準年次
1
講義題目
憲法総論・統治機構論
開講学期
越 年
担当教員
村西 良太
単位数
4単位
教  室
大講
科目区分
基盤科目
履修条件
憲法学は、おそらく皆さんの予想以上に奥が深く、難解です。
漫然と講義を聴くことがないように、十分な予習と復習を心がけてください。

【学務委員会注】この科目は越年科目です。本年度後期と来年度前期を通じて履修することにより、来年度前期末に4単位が認定されます。
授業の目的
・憲法学の全体像を把握し、統治機構論の意義と課題を確認すること。日本国憲法が予定する国政遂行のメカニズムを、自分のことばで説明できるようになること。

・憲法学にかぎらず、「唯一の正解」を「覚える」ことが勉強の目的ではありません。簡単な解決を許さない諸問題について、大いに悩み、思索を深めることができる講義になればと考えています。
授業の概要・計画
現在のところ、次のように講義を進めたいと考えています。

T.憲法総論

〔主たる内容〕 「憲法」の概念、立憲主義と法の支配、「主権」の所在。

 「憲法」とは国家統治の根本構造に関するルールを広く指示する概念であり、成文の憲法典のみならず、不文の部分、法律、裁判例、慣習等の総体から成っていると説明されます。このことを踏まえたうえで、近代憲法学が考察対象としてきた「憲法」の特質を、「立憲主義」という視角から検討します。

U.統治機構論の見取り図

〔主たる内容〕 統治機構論の位置づけ、権力分立論、国民・代表・選挙制度。

 憲法学の各論は、講学上、「統治機構論」と「人権論」に大別されます。両者の関係を問うことによって、統治機構論の位置づけを明らかにしたうえで、その支柱というべき権力分立原理を俎上に載せたいと思います。そこでは、国家「機関」と国家「作用」を分けて議論する必要が強調されると同時に、これらに対する「国民」の関わり方がひとつの焦点となりそうです。

V.日本国憲法における統治構造

 これまでの考察を踏まえて、ここからは、日本国憲法が採用する統治構造を概観します。

(1)総説

〔主たる内容〕 国民主権、象徴天皇制、戦争の放棄、権力分立と議院内閣制、違憲審査制

 立憲主義という考え方は、日本国憲法のなかにどのように息づいているのか。国民主権のあり方について、日本国憲法はどのような構想を描いているのか。権力分立に関してはどうか。これらの点を解明しつつ、日本国憲法の採用する統治構造の特質を浮かび上がらせることが本節の目的です。

(2)国会と内閣

〔主たる内容〕 国会・内閣の機関構造、国家作用(法律の制定、予算、条約)と権限配分、「立法権」と「行政権」

 「国会=立法機関」/「内閣=行政機関」という硬直的な捉え方は、ときに両者の動態的な関係を覆い隠してしまいます。法律の制定をはじめ、予算や条約といった国家作用の遂行過程をみると、二つの機関はそれぞれ自らの権限を行使することによって、互いにこれに参画しているとみるべきでしょう。ここでは、そうした試論を展開してみるつもりです。

(3)裁判所

〔主たる内容〕 裁判所の機関構造、司法権、司法審査権(違憲審査制の意義と課題)

 裁判所は、法の解釈・適用を通じて具体的な紛争の解決に従事するほか、諸種の国家作用につきその合憲性を審査する権限も有しています。近年、司法制度改革をはじめとする環境の変化が認められるほか、違憲審査制の活性化も根強く主張されています。そうした動向にも注意を向けながら、重要論点を解説する予定です。

詳細な講義計画については、最初の授業において提示したいと考えています。
授業の進め方
大講義室における授業であることを考えると、教師による説明が中心とならざるをえないでしょう。

各回にレジュメを準備するつもりですが、講義内容を詳細に記述することはありません。重要だと思われる箇所は、各自ノートをとるようにしてください。
教科書・参考書等
教科書として、芦部信喜・高橋和之補訂『憲法〔第四版〕』(岩波書店・2007年)を薦めます。これ以外の概説書(初回の授業において紹介します)でも構いませんが、必ず一冊、定評のある体系書を購入すること。

また、高橋和之=長谷部恭男=石川健治編『憲法判例百選U〔第5版〕』(有斐閣・2007年)もしばしば参照を指示します。
成績評価の方法・基準
定期試験(2009年度前期末)によって評価します。

これ以外に小テストのような機会を設けるかもしれません。
この点に関しては、第1回目の授業において詳しく説明します。
その他(質問・相談方法等)
メールによる質問を受けつけるほか、研究室在室中は原則としていつでも対応します。後者の場合、(メール等により)在室の時間を事前に確認していただく方が確実でしょう。
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