履修条件 |
特になし |
授業の目的 |
1. 日常生起する犯罪や非行及びその処理について関心を持ち、 それらについての正確な認識能力を身につける。 2. 犯罪・非行現象やその統制の在り方 (立法政策を含む) の背後にある社会的・文化的・政治的構造を分析する能力を身につける。 3. 諸問題へのアプローチの方法(文献検索、調査、統計処理、フィールドワークなど)を身につける。 4. 自分の意見を形成し、それを報告し、また、他の者と議論ができる能力を身につける。 5. 自分の見解を論文としてまとめられる表現力を身につける。
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授業の概要・計画 |
T. テーマ:参加者と相談の上決定する。次のようなテーマが考えられる。 1. 犯罪や非行の背景の分析。 警察、最高裁、法務総合研究所、日弁連などから出された資料等を活用し、また、自らのフィールドワークを通じて犯罪や非行の現状を把握し、その原因や背景を社会構造や個人的条件との関連で分析する。 2. 犯罪統制機関の研究。 特に犯罪統計と犯罪対策の関係、警察の検挙率低下をめぐる諸問題、少年警察の動向、検察官の求刑の変化、裁判官の量刑の変化、保護処分率等の変化、刑務所の過剰収容、保護観察の統制強化傾向など統制機関の現代的諸問題を検討する。 3.受刑者処遇法運用上の諸問題。新たに成立した受刑者処遇法が、過剰収容状況の下でどのように運用されているのかを検討する。また、PFI刑務所(官民協働刑務所)の問題点と展望について検討する。 4.更生保護法の研究。更生保護法の成立と施行が実務をどのような方向へ変えていくことになるのか、改正の背景、必要性、方向性、内容、影響等について検討する。 5. 少年非行と少年法。 少年非行の「激増・凶悪化」 幻想、子どもを取りまく諸問題と非行、少年法の理念と実態、少年法改正後の少年司法の変化と改正見直し、少年に対する厳罰化とその背景・実務運用上の諸問題、家庭裁判所調査官・付添人・検察官の役割、少年院・児童自立支援施設における処遇とその改革、少年司法の国際準則など多様な視点から分析する。 6. 少年法解釈上の諸問題。 少年法に関する主要判例を取り上げ、できる限り原因、非行統制、少年手続のあり方、処遇方法なども視野に入れながら、多角的に判例研究をおこなう。 7.被害者をめぐる諸問題の検討。 被害者感情と犯罪への不安感、被害者の権利運動、被害者と加害者の和解、修復的司法、被害者に対する経済的援助・精神的ケア、被害者への情報提供制度などについて検討する。 U.模擬審判を行う。 V.施設参観を行う。
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授業の進め方 |
1. ゼミ室での報告や討論だけでなく、刑事政策に関わる様々な機関を訪問し、活動の実態と課題を探る。 例えば、刑務所、家庭裁判所、少年院、児童自立支援施設、児童相談所、少年相談センターなど。 2. ビデオやテープなど視聴覚機器を用いてテーマへのインセンティブを高める。 3. 模擬審判、ロールプレイなどを通じて実務的感覚を身につけ、 問題の発見、分析力を養う。 4. 少年法に関する判例研究を行う。さまざまな情報を収集し、できる限り実態に迫りながら、担当判例を多角的に分析する。 5. ゼミ論集をまとめる。
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教科書・参考書等 |
・浜井浩一・芹沢一也『犯罪不安社会』(光文社新書) ・河合幹雄『安全神話崩壊のパラドックス』(岩波書店) ・浜井浩一『刑務所の風景』(日本評論社) ・山本譲司『累犯障害者』(新潮社) ・土井政和・堀雄訳『ドイツ行刑法』(矯正協会) ・刑事立法研究会編『更生保護制度改革のゆくえ』(現代人文社) ・葛野尋之『「改正」少年法を検証する」(日本評論社) ・福岡県弁護士会子どもの権利委員会 『少年事件付添人マニュアル』(日本評論社) ・福岡県弁護士会子どもの権利委員会『少年審判制度が変わるー全件付添人制度の実証的研究』(商事法務) ・別冊ジュリスト 『少年法判例百選』 ・『犯罪白書』
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成績評価の方法・基準 |
ゼミへの参加意欲、 報告、 討論、 調査、 論文などを総合的に評価する。 |
その他(質問・相談方法等) |
質問は随時受け付ける。できれば、あらかじめメール等でアポイントをとってほしい。 |
過去の授業評価アンケート |
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