●租税法

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●租税法
標準年次
3・4
講義題目
所得課税と実現主義
開講学期
前 期
担当教員
岡村 忠生  
単位数
2単位
教  室
103
科目区分
展開科目
履修条件
なし
授業の目的
「実現主義」という考え方を基軸として、所得税法の基本的な理解をはかる。
授業の概要・計画
1.  いろいろな税と所得課税
あなたは、生活の中でどのような税金を支払っているだろうか。いろいろな税を取り上げ、負担のあり方をみる。所得に対する課税について考える。

2.  租税と法
租税は「法律の定めるところにより」課すこととされている(憲法30条)。では、法律は、租税の何を定めなければならないのだろうか。所得課税における租税法律主義を考察する。

3.  公平、効率性
税負担は、どのような基準によって人々に分配すべきだろうか。公平や効率性の意味を考え、所得課税における担税力について検討する。

4.  課税ベース
「所得」と「収入」は、どのように違うのだろうか。身近な生活の中から、所得の範囲や捉え方を検討し、包括的所得概念を理解する。消費型所得税に触れる。

5.  所得算定過程
所得税法における所得算定のプロセスを概観し、所得税法に親しむ。

6.  収入金額と非課税
借りたお金は、課税されるだろうか。所得計算の出発点である収入金額について考察する。課税をされない所得の中から、主にフリンジベネフィットと損害賠償金について検討する。

7.  必要経費と家事費
ミュージシャンがコンサートのチケットを買えば、必要経費になるだろうか。原資(投下資本)の回収を理解し、費用と消費との区分を検討する。

8.  資産の概念と取得費の機能
去年仕入れた商品を今年売れば、仕入代金はどちらの年の費用になるだろうか。費用収益対応原則を理解し、資産(原価)の概念と範囲(原価集合)を検討する。費用計上のタイミング(原価配分)のあり方を考察する。

9.  譲渡と実現
譲渡の概念と実現の意義を考える。みなし譲渡課税が何をみなしているのかを検討する。

10.  実現主義の作用と限界
    相続や贈与、出資、共有といった場面での実現主義の作用を考察し、問題点を明らかにする。

11.  実現主義の克服
不法行為によって人が亡くなった場合の損害賠償額には、亡くなった人による差異がある。このような違いは、課税に関係するだろうか。人の能力(human capital)に対するあるべき課税を議論し、実現主義の克服を検討する。

12.  所得分類
給与と利子では、課税の方法が異なる。様々な所得の種類による課税の差異を概観し、損益通算について検討する。

13.  損失
経済活動からはプラスの所得だけでなくマイナスの所得、つまり損失も生じる。所得課税において、損失はどのように扱われるだろうか。資産損失と譲渡損失を中心に考察を進める。

14.  人的帰属
家族や友人と協力して事業を行った場合、課税は誰に対して行われるだろうか。家族事業や共同事業における所得の帰属について考察する。
授業の進め方
講義により進める。一部ディスカッションを行う。
教科書・参考書等
教科書:岡村忠生・渡辺徹也・高橋祐介『アルマ・ベーシック税法(第4版)』(有斐閣、2009年)
関係法規をインターネットで取得すること(授業で指示)。
成績評価の方法・基準
筆記試験80%、平常点20%。平常点は、ディスカッションでの発言により評価する。
授業時間の4分の1以上を欠席した場合、筆記試験の結果にかかわらず、単位を認めない。
その他(質問・相談方法等)
8/8(土)〜10(月)1〜4限目,8/11(火)1〜2限目
8/13(木)13:30〜筆記試験を行います。
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