1. いろいろな税と所得課税 あなたは、生活の中でどのような税金を支払っているだろうか。いろいろな税を取り上げ、負担のあり方をみる。所得に対する課税について考える。
2. 租税と法 租税は「法律の定めるところにより」課すこととされている(憲法30条)。では、法律は、租税の何を定めなければならないのだろうか。所得課税における租税法律主義を考察する。
3. 公平、効率性 税負担は、どのような基準によって人々に分配すべきだろうか。公平や効率性の意味を考え、所得課税における担税力について検討する。
4. 課税ベース 「所得」と「収入」は、どのように違うのだろうか。身近な生活の中から、所得の範囲や捉え方を検討し、包括的所得概念を理解する。消費型所得税に触れる。
5. 所得算定過程 所得税法における所得算定のプロセスを概観し、所得税法に親しむ。
6. 収入金額と非課税 借りたお金は、課税されるだろうか。所得計算の出発点である収入金額について考察する。課税をされない所得の中から、主にフリンジベネフィットと損害賠償金について検討する。
7. 必要経費と家事費 ミュージシャンがコンサートのチケットを買えば、必要経費になるだろうか。原資(投下資本)の回収を理解し、費用と消費との区分を検討する。
8. 資産の概念と取得費の機能 去年仕入れた商品を今年売れば、仕入代金はどちらの年の費用になるだろうか。費用収益対応原則を理解し、資産(原価)の概念と範囲(原価集合)を検討する。費用計上のタイミング(原価配分)のあり方を考察する。
9. 譲渡と実現 譲渡の概念と実現の意義を考える。みなし譲渡課税が何をみなしているのかを検討する。
10. 実現主義の作用と限界 相続や贈与、出資、共有といった場面での実現主義の作用を考察し、問題点を明らかにする。
11. 実現主義の克服 不法行為によって人が亡くなった場合の損害賠償額には、亡くなった人による差異がある。このような違いは、課税に関係するだろうか。人の能力(human capital)に対するあるべき課税を議論し、実現主義の克服を検討する。
12. 所得分類 給与と利子では、課税の方法が異なる。様々な所得の種類による課税の差異を概観し、損益通算について検討する。
13. 損失 経済活動からはプラスの所得だけでなくマイナスの所得、つまり損失も生じる。所得課税において、損失はどのように扱われるだろうか。資産損失と譲渡損失を中心に考察を進める。
14. 人的帰属 家族や友人と協力して事業を行った場合、課税は誰に対して行われるだろうか。家族事業や共同事業における所得の帰属について考察する。
|