履修条件 |
行政法T(行政過程論)を受講していること(単位取得の有無は問いません)。 この演習と並行して行政法U(行政救済論)を履修することが望ましい。
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授業の目的 |
この演習では、行政法に関する判例を読み、ゼミ論文を作成する作業を通して、行政法についての理解を深めるとともに、社会人にとって重要な問題発見・解決能力、論理的思考能力、プレゼンテーション能力等を養うことを目的とします。
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授業の概要・計画 |
<前期> 法学を学ぶ上で判例を理解することが重要であることはいうまでもありません。また、具体的な事案の検討と報告を行うことを通して、上記の諸能力を高めることも期待できます。そこで、前期においては、行政法に関する重要判例を検討することとします。行政法Tの復習をかねて、行政救済法を除く行政法総論に関する判例を中心に取り上げます。具体的な判例は初回の演習で示しますが、現時点で考えているのは次のような内容です。
1 法律による行政の原理 旭川市国民健康保険条例事件(最大判平成18年3月1日民集60巻2号587頁) 2 緊急の措置 浦安漁港ヨット係留鉄杭強制撤去事件(最判平成3年3月8日民集45巻3号164頁) 3 平等原則 高根町簡易水道事業給水条例事件(最判平成18年7月14日民集60巻6号2369頁) 4 消滅時効と信義則 在外被爆者健康管理手当不支給事件(最判平成19年2月6日民集61巻1号122頁) 5 行政手続と憲法 成田新法事件(最大判平成4年7月1日民集46巻5号437頁) 6 委任立法の限界 サーベル登録拒否事件(最判平成2年2月1日民集44巻2号369頁) 7 専門技術的裁量 伊方原発訴訟(最判平成4年10月29日民集46巻7号1174頁) 8 判断過程の統制 呉市学校施設使用不許可事件(最判平成18年2月7日民集60巻2号401頁) 9 行政指導の限界 品川マンション事件(最判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁) 10 契約締結強制 志免町給水拒否事件(最判平成11年1月21日民集53巻1号13頁) 11 事業計画の性質 浜松市土地区画整理事業計画事件(最大判平成20年9月10日裁時14678号1頁) 12 司法的執行の可否 宝塚市パチンコ店建築中止命令事件(最判平成14年7月9日民集56巻6号1134頁)
<後期> 後期はゼミ論文を執筆します。自分の興味・関心に応じて様々な情報源を利用して調査を行い、自分なりの解決策をまとめていく過程で、この授業の目的である諸能力の涵養を図りたいと思います。テーマの選択については、行政法演習のホームページ(http://quris.law.kyushu-u.ac.jp/~ohashisemi/)が参考になります。
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授業の進め方 |
担当者がテーマについて報告を行い、それを素材に参加者全員で議論します。前期はグループごとの報告、後期は個人での報告を予定しています。
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教科書・参考書等 |
前期については、行政法全般に関する基本書として、稲葉馨=人見剛=村上裕章=前田雅子・行政法(有斐閣、2007年)と塩野宏・行政法T・U[第4版](有斐閣、2005年)を、判例については、小早川光郎=宇賀克也=交告尚史編・行政判例百選T・U[第5版](有斐閣、2006年)を挙げておきます。その他の文献については、初回の演習で詳しく説明します。
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成績評価の方法・基準 |
演習における報告と、年度末に作成するゼミ論集に掲載する論文により評価します。無断欠席した場合には、以降の演習への出席は認めず、単位を認定しません。
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その他(質問・相談方法等) |
この演習については、現在ドイツで在外研究中の原田大樹准教授にもネット等を通して参加していただく予定です。 大学時代の4年間は人生の中で最も能力が伸びる時期の一つです。本演習の要求水準は高いものかもしれませんが、大学生活で何かをなしとげたいと望んでいる意欲的な学生の参加を期待しています。
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過去の授業評価アンケート |
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