●法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
憲法重要判例を読む
開講学期
前 期
担当教員
南野 森
単位数
2単位
教  室
307
科目区分
入門科目
履修条件
 毎回の予習の量は少なくないため、相応の熱意と決意のある者。
 たとえ九大法学部に入学してからこれまでの一年間を無為に過ごしてしまったと悔やんでいる者であっても、新年度こそは、という意気込みがあればそれで良い。
 2年前期は、全学教育のカリキュラム上も比較的余裕があるので、この授業の負担が大きくても乗り切れるであろう。
 
授業の目的
●法政基礎演習2の共通目標
 この授業科目は、少人数のゼミ形式により、2年後期から本格的に始まるより高度な学習へ向けての橋渡しの教育を行う目的で開講されるものである。具体的には、(1)リサーチ・分析能力、(2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、(3)レポート・論文作成能力、という、将来どのような進路をとっても必ず要求される能力の伸張を目指す。
●この演習の目標
 憲法学において基本的もしくは重要とされている最高裁判決、および関連論文を精読することにより、判決の読み方(批判的分析・検討の仕方)、そして判決をめぐる学説の読み方(批判的分析・検討の仕方)など、これからの法学部での学習に最低限必要で、かつ今後の知的人生に必ず役立つであろう作法と能力を身につけることを目的とする。参加者自身の努力次第で、読む能力だけでなく、必要な文献・情報をリサーチ・分析する能力、それを報告・レポートとしてまとめる・書く能力、そしてそれらをふまえて議論する能力も大きく伸びるであろう。
 法律学の専門家の書いた文章をじっくり時間をかけて読むチャンスは、(法学部やロースクールの)高年次になればなるほどなくなっていくかも知れない。担当教員は、比較的時間のある現時点で、たとえば論点箇条書きスタイルの予備校テキストなどではなく、きちんとした長い文章を読んでおくことが諸君にとって極めて重要であると考えている。
 検討の対象は憲法学の論点に限定されてしまうであろうが、判決と論文の精読を通じて、論理的思考力・批判的考察力といった能力を鍛え、「強い頭」を作ることがこの授業の主要な目的である。
 
授業の概要・計画
 初回はオリエンテーションに充て、2回目以降の報告担当者等を決定する。2回目以降に扱う判決は現時点では次の通り(変更する可能性あり)。8回目以降の判決については追って連絡する。
第2回:警察予備隊訴訟判決
第3回:苫米地事件判決
第4回:三菱樹脂事件判決
第5回:尊属殺重罰規定違憲判決
第6回:愛媛玉串料訴訟判決
第7回:謝罪広告事件判決
 
授業の進め方
 毎回コメンテーターと司会者をくじ引きで選び、30分程度の報告、当該報告に対する10分程度のコメントののち、司会者の進行のもとで全員で討論する。つまり、毎回、報告者を除く全員がコメント・司会の準備をしてくることになるはずである。
 良い報告をするためには、その回で扱う判決はもとより、関連する論文を熟読し検討してくることが最低限必要になるであろう。良いコメントをするためには、報告を予想しながら、また実際に聞きながら、当該報告に対して論争誘発的なコメントを考えることが必要になるため、報告担当者同様の準備が求められる。よい司会者たるためには、報告とコメントとの双方を予想しながら、また実際に聞きながら、その後の議論が活発になるよう進行する技量が必要になる(不毛な報告・コメントがなされた場合に備えておくことも必要である)。そのため、やはり報告者同様の準備が求められる。つまり、報告担当者であるか否かにかかわらず、全員が毎回報告者になったつもりで十分な準備をしてくることになる。
 参加者が慣れるまでの当初の数回は、担当教員が相対的に優しく指導する予定であるので、あまり心配する必要はない。例年、この演習に参加した学生は、当初は戸惑っていても、後半以降はきちんと報告・議論ができるようになる。
 
教科書・参考書等
 適宜指示する。判決全文と関連論文のコピーは毎回配布する。
 なお、憲法判例についての解説を集めたものとして、『憲法判例百選T、U〔第5版〕』(有斐閣、2007年)がある。
 憲法の全体(総論・統治機構論・人権論)を比較的コンパクトに扱った新しい教科書として、高橋和之『立憲主義と日本国憲法』(有斐閣、2005年)がある。憲法の理解に自信がない者は、春休み中に、または開講までに通読しておくと良いであろう。
 
成績評価の方法・基準
 平常点による(報告者・コメンテーター・司会者としての成績45%、毎回の参加者としての成績45%、演習の活性化のための貢献度10%を合わせて評価する)。
 なお、無断欠席は認めない(以降の本演習への参加を認めず、単位を認定しない)。
 
その他(質問・相談方法等)
 この演習に関する質問等は遠慮せずメールにて南野まで寄せること(アドレスは @law.kyushu-u.ac.jp の前に minamino を付加)。直接南野の研究室(3階)に来られても歓迎する。
 担当教員は、この演習を大変きついが大変楽しいものにしたいと思っている。そして、きつさ、楽しさのいずれも、授業時間外においても追求されるべきものであると考えている。コンパ等も希望があれば企画する。
 なお、この演習に関連する情報を担当教員の個人HP上に掲載するため、自宅にインターネット環境を整えていることが望ましい。グーグル・ヤフー等で「南野的授業」を検索されたい。
 また、クラス分けの決定終了次第、直ちに担当教員より連絡をとるため、学生第三係に提出する「受講希望届」には必ず携帯のメールアドレスを記載すること。
過去の授業評価アンケート  2007年度前期