履修条件 |
法学や政治学を学ぶには、具体的な諸事象と、抽象度の高い規範や理論とを往復する知的「体力」が求められます。 この演習では、抽象度が高く、ややとっつきにくい本を、きちんと読みとおす力をつけようとするものです。 その必要性を踏まえて参加してください。
「条件」はありません。ただ下記の方々に向いているかもしれません。
(1)「私」・「他者」・「責任」・「事実」などの概念について考えてみたい方。
(2)「難しい」本を読み通してみたい方。
※法学部に入ったのは間違いだったかもしれないと思っている方、・・・歓迎します(笑)。 |
授業の目的 |
この演習では下記のような目的を設定しています。
(1)やや難解な本を読み通す読解力を鍛えること。
(2)抽象度の高い論理を踏まえて討議する力を鍛えること。
(3)法学や政治学の基礎概念に向き合い、広く社会科学全体へのまなざしをもってもらうこと。 |
授業の概要・計画 |
私が担当する演習の多くは、「書をもって街に出る」の合言葉の下、相対的に多くのテキストを一定の速度で読み進めつつ、具体的な現場と交流をおこなうやり方をとっています。
ただ、この演習では、「ひきこもり」ます(笑)。 表面的にはとっつきにくく見え、それなりに分量のある三冊のテキストを、じっくりと、それぞれ2回通読するというやり方をとります。 具体的には、それぞれのテキストを、まず2回かけて通読し、その後、1回かけて再読します。
※なお「街に出」たい「アウトドア派」のためには、別途機会を提供します。 09年度は、毎月1回、3・4年ゼミの学生を中心に、福岡の若手弁護士と西南学院大学や福岡大学などの学生と、憲法を考えるための勉強会をおこないます。 具体的な訴訟の当事者の方々と交流する大学横断の勉強会です。 希望者はそれにも参加できます。
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授業の進め方 |
1.以下のような手順で毎回進めます。
(1)報告者がテキストの担当部分について資料(レジュメ)を用意し、内容を要約します。また理解しにくい点や、全員で意味を確認したい点を指摘します。
(2)コメント担当者が報告に関して質問などをおこないます。
(3)全員で議論します。
2.参加者はテキストを1冊読むごとに、テキストの要約と感想を2000〜3000字のレポートとして提出してもらいます。また再読の前に、全員の要約・感想文を材料に、それぞれ一回をかけて討議します。 |
教科書・参考書等 |
野矢茂樹『哲学航海日誌』春秋社 著者は、ヴィトゲンシュタイン研究の第一人者で、東大の教員です。「心」や「他者」などについて、文字通り「目からウロコ」を約束してくれる本です。一見とっつきにくい主題を、平易にユーモアを交えて、説明してくれます。丁寧に論理をたどれば、かならず理解できる本です。
野家啓一『物語の哲学』岩波現代文庫 著者は科学史と科学哲学の研究者で、東北大の教員です。「科学」、あるいは私たちの世界の構成を「物語」として了解する試みです。「時間」や「歴史」についての見方を確実に転換させてくれるはずです。上記の野矢さんと同様、丁寧に論理を追えば、表面的な印象とはことなり、かならず理解できます。
立岩真也『自由の平等』岩波書店 著者は社会学の研究者で、立命館大の教員です。最近「生存学」というものを提唱しています。生殖医療技術、安楽死や障がい者などをめぐり刺激的な論考を展開しています。独特の文体でとっつきにくいかもしれませんが、読み進めれば、かなり「遠く」まで連れて行ってくれます。 |
成績評価の方法・基準 |
以下の基準で100点満点で採点します。「相対基準」は採用しません。60点以上に単位を認定します。
(1)出席:15% (2)報告回数と内容:25% (3)議論での発言回数と内容:25% (4)レポート:35% |
その他(質問・相談方法等) |
1.メーリングリストにより、連絡や情報交換をおこないますから、メールアドレスを準備してください。ただし長文や添付ファイルがあるので、携帯電話のメールではダメです。
2.質問はゼミのたびに受けつけます。またメールなどで予約をとった上で個別面談にも応じます。詳しくはガイダンスでお知らせします。
3.私が担当する3・4年生ゼミとの交流も積極的に設けます。進路決定の参考になるはずです。 |
過去の授業評価アンケート |
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