●外国法律書講読(英語)

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●外国法律書講読(英語)
標準年次
3・4
講義題目
文化政策関連英語文献講読
開講学期
前 期
担当教員
小島 立
単位数
2単位
教  室
305
科目区分
基盤科目
履修条件
積極性溢れる受講者の参加を希望します。なお,本授業は,大学院法学府修士課程の「国際関係法学外国書講読第二」との合併授業です。

受講者数次第では,教室変更をしないといけない可能性もありますので,参加を希望される方は,2009年4月8日(水)までに,小島(メールアドレスは,kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)までご連絡下さい。
授業の目的
本授業では,「文化政策と法」に関係する英語文献を講読します。「文化政策と法」に対する理解を深めるとともに,外国語(英語)能力の涵養を目指します。
授業の概要・計画
(授業概要)

「文化政策」とは,芸術や文化に関する政策のあり方を論じる学問領域です。文化政策には,法学,政治学,経済学,社会学,歴史学,考古学,美学芸術学,芸術工学などの様々な学問分野が関係し,複合領域の色彩を強く帯びています。

論じられるテーマも多様であり(例えば,指定管理者制度,文化施設への補助金の削減問題,アートNPO,企業メセナ,著作権政策,「創造都市」など),学問としては発展途上の段階にあるといえます。しかしながら,逆にそれは,文化政策という学問領域が,理論面と実践面の双方で,大変に興味深い「宝の山」であるということを示しています。

本授業では,「文化政策と法」に関係する諸問題のうち,いわゆる「文化財返還」に関係する論点について論じた,James Cuno, Who Own’s Antiquity?: Museums and the Battle over Our Ancient Heritage (Princeton University Press 2008) を講読します。

本書では,いわゆる「文化財返還」の問題を論じています。アテネオリンピック前に,ギリシア政府が大英博物館に対して収蔵品(「エルギン・マーブル」)の返還を求めたことは記憶に新しいでしょう。日本においても,第二次世界大戦後に,数多くの刀剣が海外(特にアメリカ)に違法に流出したといわれています。このような事態に対し,文化財が本来「帰属」していた「国家」が,博物館やその属する政府に対し,文化財の返還を求める事態が頻発しています。

かかる問題に対し,どのような分析視角を持って臨めばよいのかというのは大変な難問であり,いまだ解決困難な課題について,本書の講読を通じ,受講生の皆さんと一緒に考えていければと思っています。

(授業計画)

本書は,序論と本論を合わせて,全部で160頁ほどありますので,毎回10〜15頁前後を読んでいくことになります。分量が比較的多いことから,授業時間を毎回10〜20分ほど延長することになると思います。さらに,授業進度を勘案し,補講を設定することもあり得ますので,予めご了承下さい。

授業計画は以下のとおりです(6月17日(水)は,担当者が海外出張のため,休講とさせていただきます)。

第1回(4/15): Preface (pp.ix - xviii)
第2回(4/22): Preface (pp.xviii -xxxvii)
第3回(5/13): pp.1-16
第4回(5/20): pp.16-26
第5回(5/27): pp.26-43
第6回(6/3): pp.44-66
第7回(6/10): pp.67-87
第8回(6/24): pp.88-105
第9回(7/1): pp.105-120
第10回〔補講)(7/1・4限): pp.121-139
第11回(7/8): pp.139-156
第12回(7/15): pp.156-162
第13回(7/22): まとめ
授業の進め方
1.概要

講読において,特に担当者を決めることは致しません。また,文章の全訳を求めることはありませんが,文章のまとまり(意味の固まり)を自分で把握し,その要約を行なって下さい。

2.予習時の留意点

(1)予習の際,何が文章の主題として取り上げられているのか,何と何が対比(比較)して書かれているのか,従前の問題状況はどういった内容で,筆者はそれに対してどのような分析を加え,従来の考え方とどのように違った意見を持っているのか,といった点について,意識的に注意を払っていただきたいと思います。

(2)これまでの担当教員の経験から申し上げますと,学生の皆さんは,個々の短熟語の意味を辞書で調べることに意を用いすぎ,一定の長さの文章が固まりとして何を言っているのかを把握することが苦手であるような気がします。そのような「木を見て森を見ない」状況に陥らないように気をつけながら,予習を行なって下さい。

(3)重要な法的概念について,授業担当者が質問を行なうこともありますので,丁寧に予習していただきたいと思います。

3.授業時間について

前述したとおりですが,毎回,それなりの分量を講読しますので,授業時間を若干延長することもあります。予めご了承下さい。
教科書・参考書等
1.著作権の関係上,参加者全員に本1冊を丸々コピーしてお渡しすることはできません。講読する文献を文系生協書籍部に用意致しますので,参加者は各自購入した上で授業に臨んで下さい。価格は,2,300〜2,400円前後と聞いております(2009年1月現在)。

2.授業には,英和辞書(電子辞書でも可)を必ず持参して下さい。

3.授業担当者の外国語教育に対する基本的な考え方を知る上での参考文献を,法学部の「コアセミナー(法政基礎演習1)」(2007年度前期・金曜4限)のシラバスに記していますので,関心のある方は御覧いただきたいと思います。

4.文化政策についての基本的知識を得たい場合には,後藤和子編『文化政策学――法・経済・マネジメント』(有斐閣,2001年),伊藤裕夫=片山泰輔=小林真理=中川幾郎=山崎稔恵『新訂 アーツ・マネジメント概論』(水曜社,2004年),池上惇=植木浩=福原義春編『文化経済学』(有斐閣,1998年)などを参照して下さい。

5.本演習の内容に直接関係する参考文献として,朽木ゆり子『パルテノン・スキャンダル』(新潮選書,2004年)があります。
成績評価の方法・基準
授業への出席,平素の態度により評価を行います。自発的に発言がない場合には,こちらから適宜指名し,発言していただくことにします(その際に,発言者の氏名を尋ねます)。

つまり,発言回数,発言内容などが成績評価に反映されることになります。従って,積極的な発言がない場合には,当該参加者には自ずと低い成績評価しか与えられないことは,予めご了解下さい。
その他(質問・相談方法等)
ご不明な点があれば,小島までお尋ね下さい(メールアドレスは,kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)。
過去の授業評価アンケート