●政治学原論

最終更新日:2009年10月1日

授業科目名
●政治学原論
標準年次
2
講義題目
国際社会論入門
開講学期
後 期
担当教員
大賀 哲
単位数
2単位
教  室
302
科目区分
基盤科目
履修条件
学ぶ意欲のある皆さん
*政治学系の入門科目を前年度に履修している必要はありません。
*政治学についての前提・背景となる知識は問いません。
授業の目的
【目的】

・本講義では「国際社会」をテーマとし、国際社会における法と政治の関わり(国際法秩序と国際政治秩序の連関)を学修します。

・「原論」とは「物事の根本となる理論枠組み」のことです。本講義では国際社会を形成する概念(法学に由来するもの、政治学に由来するもの、両者を接合・折衷して生まれたもの、様々あります)を学修します。そこから政治学の根本となる枠組みを学修し、3・4年次に配当されている政治学系展開科目への導入を行ないます。

【目標】 特に本講義では以下の3点を目標にして授業を行なっていきます。

1.国際社会における法学と政治学の連関を理解する
担当教員は、法学と政治学とは問題意識・問題対象の違いではなく、同一の事象についての異なったアプローチ(方法・理論・論理的前提etc.)であると捉えています。本講義では国際社会をテーマとして、法学(国際法秩序)と政治学(国際政治秩序)の互いに重なり合う部分を考察し、国際社会における法学と政治学の連関を学修します(但し、担当教員の専門上、政治学的な話が多くなります。その点はご留意ください)。

2.政治学的な素養・作法・文法を修得する
政治学の最も大きな特徴は、それが自然科学のような明確な秩序体系を持たず、多種多様な(時には相矛盾する)「概念」や「理論」の集合であるということです。しかし、大事なことはそれらの概念を「覚える」ことではありません。それらが「具体的には何を意味しているのか」を考えることです。また政治学は高校の政経科目ではありません。単に制度の概要を理解し、事例を漠然と眺めるのではなく、それがどのような秩序に基づいて作られていて、それは正統/正当なのか、ということが政治学の課題となります。そこで本講義では、国際社会論を学びながら、体系的に「なに」が「なぜ」、「どのように」起きているのかを主として政治学的におさえて行きたいと思います。

3.論理的思考能力・論文作成能力を修得する
とはいえ、余程特殊な職業に就かない限りは、政治学の知識を使う場面はそんなに多くはありません。そこで本講義では政治学の導入を行いつつ、それを通じて論理的思考能力・論文作成能力を身に付ける訓練をしていきたいと思います。学問の世界に「一般的な定義」というものは存在しません。概念の定義は、定義をする人間の置かれている文脈(時代・地域・思想・世界観etc.)に依存します。政治学の概念を学ぶということは、「どのような思考過程を経れば、そうした定義を行なった人間と同一の結論に辿り着くのか」ということを論証していくことを意味します。論理的思考能力といっても、小難しいものでも奇抜なものでもなく、訓練すれば誰でも身につくものです。本講義では「課題」を反復して行なうことにより、(政治学の知識と同時に)論理的思考能力・論文作成能力の修得をはかります。

《3.についての補足》
低年次ゼミ(コアセミナー・法政基礎演習U)の共通目標に@リサーチ能力、A分析能力、Bディスカッション・プレゼンテーション能力、Cレポート・論文作成能力、というのがあったかと思います。大別すれば@Aはインプットするための能力、BCはアウトプットするための能力と言えます。そして@〜Cに一貫して求められる能力が「論理的にものを考える」ということです。すなわち本講義では、低年次ゼミの応接として、国際社会論を題材としながら、論理的にものを考える力(インプット)、それを論理的に論述していく力(アウトプット)を養って行きたいと思います。

【目標達成の基準】
全講義終了後、皆さんが下記の状態となっていることを目指して講義を行ないます。

1.(国際社会論における)法学と政治学のそれぞれの特徴・共通点・相違点を理解し、それを政治学的な「構え」から掘り下げることができる。

2.国内社会と国際社会のそれぞれの特徴・共通点・相違点を理解し、その上で国際社会の意義と限界について考察することができる。

3.上記二点を論理的に説明し、第三者を説得することができる。
授業の概要・計画
*授業概要・計画共に現時点での暫定的なものです(変更はあり得ます)。これらの詳細については初回の授業で提示します。

【授業の概要】

(1) イントロダクション(4回)
論理的思考能力・論文作成能力についての概説を行ないつつ、政治学を学ぶことの意義を学修します。

(2) 法の概念/政治の概念(2回)
法の概念と政治(国家)の概念をそれぞれ学修します。

(3) 〈政治〉の法学的概念/〈法〉の政治学的概念(3回)
法学にとっての政治(国家)の位置付け、政治学にとっての法の位置付けを学修します。

(4) 国際法/国際政治の本質(3回)
国際法秩序・国際政治秩序を構成している原理・論理を学修します。

(5) 国際法/国際政治の構造(3回)
国際法秩序・国際政治秩序の基本構造を具体的に学修します。


【授業計画】*()内は教科書・参考文献等に対応しています

1.イントロダクション@論理的思考能力についてT
(レジュメ配布:課題用資料「ソクラテスの弁明」@)
2.イントロダクションA論理的思考能力についてU
(レジュメ配布:課題用資料「ソクラテスの弁明」A)
3.イントロダクションB論文作成能力について
(レジュメ配布:課題用資料「ソクラテスの弁明」B)
4.イントロダクションC政治学を学ぶことについて
(レジュメ配布:課題用資料「クリトン」)
5.法の概念
(『法と国家』第1講)
6.政治(国家)の概念
(『合法性と正当性』序章・第1章)
7.〈政治〉の法学的概念@
(『法と国家』第3講・『社会学的国家概念と法学的国家概念』第3章)
8.〈政治〉の法学的概念A
(『社会学的国家概念と法学的国家概念』第8章・第9章)
9.〈法〉の政治学的概念
(「法学的思惟の三種類」・「現代帝国主義の国際法的諸形態」)
10.国際法の本質
(『法と国家』第2講)
11.国際政治の本質@
(『政治的なものの概念』第1節〜第4節)
12.国際政治の本質A
(『政治的なものの概念』第5節〜第8節、「戦争概念と敵概念」)
13.国際法の構造
(『法と国家』第4講)
14.国際政治の構造@
(『憲法論』第29章・第30章)
15.国際政治の構造A
(『法と国家』第5講・第6講)
授業の進め方
1.基本的には上記内容を講義形式で進めていきます。また各回、レジュメを配布します。

2.毎回課題を出します。課題は授業内容から「問い」を設定し、論述して頂くものです。知識というのは「覚える」ものではなく、「使う」ものです。講義形式の授業は、知識をインプットするには適していますが、アウトプットするのには向いていません。そこで課題を通じて、理解の定着をはかります。

3.課題については担当教員が添削します。この狙いは、政治的な問題について考える力、与えられた情報を処理する力、論理的に文章を構成する力を身につけることにあります。課題については「正解」をあまり意識せずに自由に書いてください。採点基準については初回の授業で提示しますが、内容の正しさではなく、「論証の妥当性」を評価対象とします。
教科書・参考書等
以下、教科書については購入してください。参考図書については授業中にコピーを配布するので購入する必要はありません。

●教科書
ハンス・ケルゼン(鵜飼信成訳)『法と国家』UP選書(2,200円)

●参考図書
プラトン(田中美知太郎・藤澤令夫訳)『ソクラテスの弁明』『クリトン』中公クラシックス
ハンス・ケルゼン(法思想21研究会訳)『社会学的国家概念と法学的国家概念』晃洋書房
カール・シュミット(田中浩・原田武雄訳)『合法性と正当性』未来社
カール・シュミット(阿部照哉・村上義弘訳)『憲法論』みすず書房
カール・シュミット(田中浩・原田武雄)『政治的なものの概念』未来社
『カール・シュミット著作集T・U』(長尾龍一編)慈学社
成績評価の方法・基準
1.成績については、毎回の課題(50%)と期末試験(50%)から評価します。

2.出欠はとくにとりません。
その他(質問・相談方法等)
メールにてお願いします(togaのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです)
過去の授業評価アンケート