●法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
韓国法政入門――韓国の「いま」
開講学期
前 期
担当教員
木村 貴  
単位数
2単位
教  室
205
科目区分
入門科目
履修条件
 韓国(朝鮮半島)に興味がある方、また「少数者」の人権問題などに興味がある方を歓迎いたします。韓国語の文献などもみてみたいと思いますので、韓国語に対する基礎的知識があるとより望ましいですが、必ずしも必要というわけではありません。
 
授業の目的
◆韓国の「いま」を理解すること
 「韓流」によって身近に感じるようになった韓国ですが、映画・ドラマなど文化面以外の韓国をどれほど知っているのでしょうか。1987年以前は軍事政権が支配していたこと、北朝鮮ゲリラの韓国侵入など依然として北朝鮮と韓国の間が休戦状態にあり、国家保安法という法律が存在することを。隣国韓国をより深く理解することを本演習の目的の一つとします。

◆「少数者」の立場から理解すること
 現代社会には多様な人々が混在しますが、多数決によりものごとが決定されるのが基本とされています。マスコミなどの報道もそのような多数の意見を反映したものとなっています。しかし、「少数者」と呼ばれる人々が「多数」存在することもまた事実です。そこで、「少数者」の立場からある社会をみることを、本演習の目的の一つとします。

◆問題にアプローチする能力を磨くこと
 本演習では、学際的なアプローチ(「法」と「政治」)により、韓国の「いま」を理解しようとします。特に、「少数者」をキーワードに韓国の「いま」を理解しようとしますが、「少数者」問題を法律と政治の両側面からみることによって、片方だけでは見えない部分を浮かび上がらせようとします。
 
授業の概要・計画
【授業の概要】
 本演習は、「韓国」「民主主義」「少数者」「法」「政治」をキーワードに進めていきます。
 1987年の「民主化」以降、韓国は、軍部支配による権威主義体制から民主主義体制へと移行していきました。この体制移行により大きな制度的変化がありました。大統領を国民が直接選択できるようになり、地方自治制度の施行により中央の従属からも解放されるようになりました。しかし、その反面、新自由主義の浸透による経済格差の拡大、韓国全土を三分する激しい対立を伴う地域主義の出現、ニューライトなどの新勢力出現による新しい内部対立の激化などの副作用を伴うものでありました。このような現象の背景には、分断国家という韓国特有の要因も存在しています。この対立構造の中で常に犠牲になってきたのが社会的「少数者」の人々です。
 よって、本演習では、1987年以降の韓国政治の歴史を「少数者」を通してみてみたいと思います。具体例としては、「女性」「こども」「性的少数者」などの一般的事例、「良心的兵役拒否者」「脱北者」「在韓華僑」「政治弾圧被害者」「在外韓国人」(在日韓国人など)などの韓国特有の事例などを見ていく予定です。

【授業の計画】
1.初回は、参加者の自己紹介、ゼミの進め方、準備のやり方などについてオリエンテーションを行います。
2.2回目以降は、テキストを使用して進めます。まず、日本などでもみられる「女性」「こども」問題などに関する知識を深め、その後、韓国特有の事例に関して理解していくようにしていきます。
3.テキストによる講義と同時に、それぞれ研究テーマを絞るようにしていきます。そして、後半の数時間を使って各自の研究報告をしてもらい、全員で討議を行います。
 
授業の進め方
(1)初回の授業において、各自テキストの担当部分を決定します。2回目以降は担当部分を報告者がレジュメを用意して内容を要約します。そのとき、理解しにくい部分や、全員で意味を確認したい点があれば、それも指摘するようにします。
(2)司会者を一人おき、全体討議の進行をしてもらいます。
(3)全員で討議し、毎時間、一度は発言するように心がけてください。
(4)各自の関心のあるテーマで学期末にレポートを提出してもらいます。レポート作成に関してのサポートもゼミの中で行っていきます。
 
教科書・参考書等
【テキスト】
(1)大久保史郎・徐勝『現代韓国の民主化と法・政治構造の変動』日本評論社、2003
(2)徐勝監修、金津日出美・庵逧由香編集『現代韓国民主主義の新展開』御茶の水書房、2008

【参考文献】
(1)朴 燦運『国際人権法と韓国の未来』現代人文社、2004
(2)木宮正史『韓国‐民主化と経済発展のダイナミズム』筑摩書房、2003
 その他、演習において適宜紹介します。
 
成績評価の方法・基準
(1)ゼミへの出席状況(20%)
(2)ゼミでの議論への参加状況(20%)
(3)ゼミでの報告(20%)
(4)学期末に提出してもらうレポート(40%)
 
その他(質問・相談方法等)
 ゼミに関するご質問・ご相談・ご意見はメール(t-kimura【あっとまーく】law.kyushu-u.ac.jp)にて随時受け付けます。また、直接研究室(法学府第4研究室)にお越しいただいても構いませんが、不在の場合もありますので、事前にメールにてご連絡をいただければ幸いです。
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