●法政基礎演習 II

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習 II
標準年次
2
講義題目
労働問題を考える
開講学期
前 期
担当教員
品川菜津美  
単位数
2単位
教  室
403
科目区分
入門科目
履修条件
 学生の皆さんも、大学を卒業すれば社会人となります。解雇、セクハラ、過労等の労働問題に直面したとき、どのように解決していけばよいか、一緒に意欲的に考えてみたい、という学生を歓迎します。
 どの本でも結構ですので、労働法の基本書を一読された上で授業に参加して下さい。定評のある基本書としては、菅野和夫『労働法〔第8版〕』(弘文堂、2008年)がありますが、下記の「教科書」の箇所に記載されている本を、入門書として一読されておくと良いでしょう。
 
授業の目的
 @授業を通じて労働法における主要な問題について、知識を深め、労働判例の読み方等を習得してもらいます。労働法は、働く人個人と雇用者との関係を扱う個別的労働関係と、労働組合や団体交渉に関する問題を扱う集団的労働関係とに大きく分けられます。この演習では、前者の個別的労働関係を中心に取り上げる予定です。
 Aそれぞれのテーマに沿って、重要な文献や判例、紛争の解決方法、問題の実態等を調べることで、リサーチ能力の向上を図ります。
 B各テーマについて、報告担当者を予め決定しておき、担当者にリサーチ結果を報告してもらった上、討論を行うことで、情報や自己の意見を分かりやすく伝える能力の向上を図ります。
 C各回のレポート、ゼミ論文の作成により、論理的な文章を書く方法を習得してもらいます。
 
授業の概要・計画
 第1回 ガイダンス
  自己紹介、授業の進め方、内容、報告担当者の決定等

 第2、3回  労働法入門
  労働法(個別的労働関係)の基本的な考え方について勉強します。

 第4回以降
  以下のテーマについて、報告者の発表、司会のもと、全員で討論を行う予定です。

 ○雇用関係の成立―内定の取消
  厳しい就職活動を乗り越えてやっと内定をもらっても、それが取り消されてしまう場合があります。どのように対応すればよいか、実際に起こっている問題を調べ、文献や判例をもとに、解決方法を検討します。
 ○雇用平等―セクハラ
  セクハラによる精神的ダメージは大きなものですが、どのような行為がセクハラとなるのか、判断が難しいようなケースも見られます。セクハラ問題について、文献や判例、通達等を調べ、実際にどのような対策がとられているのか検討します。
 ○人事―@降格
  仕事を頑張っていても、成績不振を理由に降格されてしまうケースがあります。昇進や降格は、労働者の重大な関心事の一つです。労働者が降格されたとき、どのようにすれば良いか、文献や判例を踏まえて解決策を考えてみます。
 ○人事―A転勤
  病気の家族の面倒を見なければならないのに、遠方への転勤を命じられる等、転勤に伴い、労働者に大きな負担がのしかかってくるケースも見られます。転勤について、どのような問題が生じるのか、そしてその解決方法は何かを考えてみましょう。
 ○労働災害
  長時間の残業が原因で労働者が死に至るケースもありますが、労働と死亡の関係性がしばしば問題となります。労災にはどのようなものがあるか、何が問題となっているのか、文献や判決、通達等から、要件や判断基準等を検討してみましょう。
 ○雇用関係の終了@―解雇
  解雇、リストラにより、労働者は失業し、生活の糧を失います。労働者の一番の関心事とも言える解雇について、重要な判例等を読み解いて検討していきます。
 ○雇用関係の終了A―労働者派遣
  派遣は、使用者、労働者の双方にとって、雇用形態の一つとしての選択肢を与えるものですが、派遣切り等の問題が生じることもあります。派遣労働者がどのような場合に保護されるか、時代の流れとともに「派遣労働者」としての働き方がどのように変化してきたか、文献や判決等から検討していきます。

 最終回
  全体の復習
 
授業の進め方
 第4回以降は、各テーマの報告担当者をあらかじめ決定しておき、報告者の発表の後、学生の司会のもと、学生間で討論を行い、労働者、使用者のそれぞれの立場から活発に議論を行ってもらいます。報告担当者の学生には、事前に報告レポートを提出してもらいます。
 発言や討論、レポート作成を通じ、労働法の考え方、労働事件判決の読み方、文献調査の方法等について勉強していきます。最後に、授業で検討した事項の中からテーマを選び、ゼミ論文を作成してもらう予定です。
 
教科書・参考書等
<教科書>
○中窪裕也=野田 進=和田 肇『労働法の世界〔第8版〕』(有斐閣、2009年)
○野田進(編)『判例労働法入門』(有斐閣、2009年)
○荒戸英幸『プレップ労働法〔第2版〕』(弘文堂、2008年)
(全てを購入する必要はありません。いずれか1冊で結構です。)

<参考図書>
○菅野和夫『労働法〔第8版〕』(弘文堂、2008年)
○村中孝史=荒木尚志(編)『労働判例百選〔第8版〕』(有斐閣、2009年)
 
成績評価の方法・基準
 出席、報告内容、司会内容、授業での発言、討論の内容、レポート、論文等により総合的に評価します。
 
その他(質問・相談方法等)
 質問、相談等について、メールや各授業の前後に対応します。
 
過去の授業評価アンケート