この講義では、下記の「民事手続法」について、基本的な考え方を理解することを目的とします。 民法等の「民事実体法」で認められる個々の権利義務は、物質的な存在ではなく、あくまでも観念的な、社会の約束事に過ぎません。それも、その約束事について当事者間に了解があれば、社会はスムーズに動いてゆきますが、当事者間で意見が食い違う場合には、その食い違いが「法的紛争」という形で顕在化します。 このような場合、法的紛争を永続化させないためには、誰にどのような権利があるのか(ないのか)について、最終的な判断をして、その権利義務の内容を実現させる機関が必要だとされています。この機関が裁判所です。そして、権利義務の存否を判断し、それを実現させるための、裁判所内での一連の手続を、「民事手続」と総称します。この民事手続によって、民事の法的紛争は解決ないし処理されます。 民事手続法は、裁判所がいかに民事手続を進めるかを定めた法領域です。民法等の民事法を深く理解するためには、ぜひとも理解しておかなければなりませんが、反面、非常に技術的な法領域であるという印象をもたれることもあります。この講義では、民事手続をできるだけわかりやすく、その基礎から解説します。 今年度は、主に財産事件を念頭においた手続を上田(竹)が、家事事件を対象とする手続を小池が担当します。 |