履修条件 |
このゼミでは、毎週、比較的ながい判決文を事前に熟読することが求められます。 とくに初めのうちは丁寧な指導に努めるので、心配する必要はありませんが、「とにかく楽に単位がとりたい」という人には向いていません。 うまくできるかどうかは別にして、ゼミでの報告や討論に意欲的に取り組める学生を求めます。 |
授業の目的 |
【コアセミナーの共通目的】 このコアセミナー(法政基礎演習T)は、少人数でのゼミ形式を通じて、以下の4点にわたる勉強の「型」や「フォーム」を体得することを目的としています。
(1)情報の集め方について学ぶこと(リサーチ能力) (2)情報の分析の仕方について学ぶこと(分析能力) (3)議論の方法について学ぶこと(ディスカッション・プレゼンテーション能力) (4)自分の意見を説得的に文章にまとめる技術について学ぶこと(レポート・論文作成能力)
【このゼミの目的】 裁判沙汰になるということは、「原告」と「被告」に分かれて対立する当事者がそこに存在するということであり、裁判所は両者の主張を踏まえ、法に照らして、紛争の解決をめざします。判決書にはそのプロセスが記録されているわけですが、原告と被告の主張を読み比べた場合に、簡単には雌雄を決せられない事案が少なくありません。地裁・高裁と最高裁でまったく逆の結論が示されたり、裁判官どうしの見解が食い違ったりすることも珍しくないのです。 このゼミでは、教育現場を舞台に実際に争われた裁判例の中から、かように裁判官の意見が割れてしまった事案を意識的に取り上げて、参加者全員で討論したいと思います。ゼミ生各位が自分の見解を練り上げる努力を重ねることによって、(a) 法学部での勉強に唯一絶対の「正解」はないと実感してもらうこと、(b) どちらの主張を勝たせるかという「結論」よりも、そこに至る理由づけの方に着目するクセを身につけてもらうこと、以上二点がとりわけ大きな目標となります。 また、担当教員は憲法を専門領域としていますので、この法分野の大まかな見取り図を提供できればと考えています。 |
授業の概要・計画 |
上記のように、公立学校教育をめぐって実際に争われた裁判例を素材に、自分が裁判官であればどのような理屈でいかなる結論を導きたいと考えるか、参加者全員で討論したいと思います。
具体的には、次のような問題を取り上げるつもりです。
・校則によって髪型やスカートの丈を厳しく規制することは、生徒の「人権」を侵害することにならないか。たとえば、男子の髪型を「丸刈り」に統一する校則を定めて、これに違反した生徒を出席停止とすることは認められるか。
・真摯な信仰上の理由によって武道の実技を拒否する生徒に対して、教師はどのように対応すべきか。
・口頭で注意しても悪ふざけをやめない生徒に対して、担任教師がたとえば胸ぐらをつかんで壁に押し当て罵声を浴びせたところ、生徒が自宅に引きこもってしまった。教師のこの行為は法的に禁止された「体罰」に当たるか。
・「君が代」なんか歌いたくない、という生徒がいるのに、入学式や卒業式でその斉唱を義務づけることはどのように評価されるべきか。同様の考え方をもつ教師に対して、君が代斉唱時における起立を求めることについてはどうか。
|
授業の進め方 |
はじめの2〜3回は、本格的なゼミをおこなう前にぜひとも理解してもらいたい憲法学の基本的な事項を、質疑応答を交えながら確認します。そのための教材は、教員が準備します。
その後は、報告者による発表とそれに基づく討論を軸に進めます。報告者はレジュメを作成して、当該訴訟に至った経緯、原告・被告それぞれの主張、裁判所による判断の内容、そしてそれに対する報告者の評価を述べます。他のゼミ生は、報告をよく聞いて、活発に意見を交換してください。
各回の司会進行もゼミ生に担当してもらいます。 |
教科書・参考書等 |
憲法の教科書として、芦部信喜・高橋和之補訂『憲法〔第4版〕』(岩波書店・2007年)を購入してください。 また、本ゼミの参考書として、西原博史『良心の自由と子どもたち』(岩波書店・2006年)を使用します。初回ゼミの開講日(4月16日)には生協文系書籍部の店頭に並びますので、こちらも必ず入手してください。 |
成績評価の方法・基準 |
・平素のゼミにおける報告・発言および夏休みに提出してもらうレポート課題によって評価します。
・無断欠席は認められません(単位を認定しません)。
|
その他(質問・相談方法等) |
メールによる質問のほか、研究室を直接訪ねてもらって構いません。 |
過去の授業評価アンケート |
2009年度前期 |