●政治動態分析II・発展特殊講義

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●政治動態分析II・発展特殊講義
標準年次
3・4
講義題目
東アジア政治思想史入門
開講学期
後 期
担当教員
與那覇 潤  
単位数
2単位
教  室
2研
科目区分
展開科目
履修条件
定員は 30 名 まで。集中講義のゼミ形式で行うので、以下の手続きを踏んだ人に限ります(逆に、内容への関心と意欲があれば、特に専門等は問いません)。
 ・「11月末日」までに、担当教員( yonaha@jps.aichi-pu.ac.jp )まで、「所属・学年および自身の専門や興味」を添えて、参加の意思を連絡すること。
 ・以降、「12月中」に教員より、各自のメールアドレスおよび担当を記載した「参加者リスト」を添付で送るので、それを参照して、発表の準備をすること(例えば、共同発表者と事前に連絡を取り合ってもらうこともあり得る。また何点かは、教科書のほかに図書館で論文等のコピーをとってもらいます)。
 ・自身が発表を担当する部分のみでなく、他の参加者が発表する教材についてもすべて読了の上で、原則として「3月」の全日程を通じて、授業に参加すること(ただし、部分的にどうしても出席できない日程がある場合は、適宜相談に応ずるので、メールする際に付記してください)。
 また、年内に担当教員から連絡が届かなかった場合は、メールのトラブルと考えて、必ず再度連絡のこと。
授業の目的
「日中の覇権が逆転する」として注目を集める、今日の東アジアの政治や経済の状況は、旧来の常識では、きわめてわかりにくい状況におかれています。すなわち、本年中に日本を抜き、GDPがアメリカに次ぎ世界第2位となることが確実と言われながら、欧米的な意味での民主化の進展がみられそうにない中国。逆に、それなりに議会制民主主義が定着したかにみえながら、昨年まで選挙を通じた政権交代に乏しく、しかもその際の熱気も早々と冷め、経済も停滞したままの日本。このことは、ヨーロッパの体験をモデルに構築されてきた、既存の「近代化」「議会政治」「民主主義」「経済発展」「市民社会」などの概念では、現在の東アジアを適切に分析できないことを示しています。むしろ、東アジアの歴史に根ざした新たな研究視角、いわば欧米からの輸入品ではない、東アジアに固有の文化から生まれた「新しい政治学」が要請されているといえるでしょう。
その第一歩として、日中両国を中心とする今日の東アジア政治を理解するために有益な、歴史学および思想史の知見について、ゼミ形式で学びます。
授業の概要・計画
日本の政治学が世界の学界に誇る業績であり、また今日のアジア政治のあり方を考える上でも有益な手がかりを提供する、丸山眞男(1914-1996)の日本政治思想史研究の成果について、研究書を通して概観し、現代への適用可能性について議論します。また、丸山の思索を彼の生きた戦前・戦後の日本社会の文脈に位置づける文献も併読し、「丸山自身の政治思想」が持っている歴史的な意義と時代的な制約についても議論したいと思います。一人の思想家の哲学と人生の双方を学ぶという意味では、思想史入門を兼ねた演習ともいえます。
 具体的には、最初の数回、今日の日中両国の情勢を、東アジアの歴史的な文脈に位置づける上でヒントとなるエッセイを読み、狭義の歴史研究が専門でない人にも、思想史的な研究視角の意義を体感してもらった上で、丸山研究の文献2冊に取り組む予定です。
授業の進め方
教科書の文献2冊および関連論文(エッセイ)3〜4点につき、事前に発表担当を決めた上で、担当者にレジュメを作って発表してもらい、全員で討論するゼミ形式で進めます。
教科書・参考書等
A. 田中久文『丸山眞男を読みなおす』講談社選書メチエ、2009
B. 竹内洋『丸山眞男の時代 大学・知識人・ジャーナリズム』中公新書、2005
上記2冊は必ず購入し、読了の上で授業に参加してもらうことになります。その他の論文類については、後にメールで指示し、図書館で入手してもらう形とします。担当教員自身の草稿を使用することもあり得ます。
成績評価の方法・基準
受講者が少なく、一人あたり複数回発表が当った場合は、平常点評価(出席や自分の発表のみでなく、議論への貢献を主とします)。そうならなかった場合は、最終時限に簡単な筆記試験を行います。
その他(質問・相談方法等)
3/7(3〜5限),3/8〜10(2〜5限)
過去の授業評価アンケート