行政法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
行政法演習
標準年次
3・4
講義題目
行政救済法の重要判例を読む
開講学期
通 年
担当教員
村上・原田 (村上裕章・原田大樹)
単位数
4単位
教  室
304
科目区分
展開科目
履修条件
 行政法T(行政過程論)を受講していること(単位取得の有無は問いません)。
 この演習と並行して、前期に開講される行政法U(行政救済論)を履修することが望ましい。
授業の目的
 この演習では、行政法に関する判例を読み、ゼミ論文を作成する作業を通して、行政法についての理解を深めるとともに、社会人にとって重要な問題発見・解決能力やプレゼンテーション能力を養うことを目的とします。
授業の概要・計画
<前期>
 法学を学ぶ上で判例を理解することが重要であることはいうまでもありません。また、具体的な事案の報告や検討を行うことを通して、上記の諸能力を高めることも期待できます。そこで、前期においては、最初に行政法Tの復習を行った上で、行政法Uの授業と並行して、行政救済法に関する重要判例を検討することとします。取り上げる具体的な判例は初回の演習で示しますが、現時点で考えているのは次のような内容です。
第1回 行政法Tの復習(1)
第2回 行政法Tの復習(2)
第3回 行政法Tの復習(3)
第4回 処分性
浜松市土地区画整理事業計画事件(最大判平成20年9月10日民集62巻8号2029頁)
第5回 原告適格
小田急訴訟(最大判平成17年12月7日民集59巻10号2645頁)
第6回 訴えの利益
仙台市建築確認取消請求事件(最判昭和59年10月26日民集38巻10号1169頁)
第7回 義務付け訴訟
東大和市保育園入園拒否事件(東京地判平成18年10月25日判時1956号62頁)
第8回 公法上の当事者訴訟
在外国民選挙権訴訟(最大判平成17年9月14日民集59巻7号2087頁)
第9回 行政訴訟と民事訴訟
大阪空港訴訟(最大判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)
第10回 行政上の不服申立て
行政不服審査法改正法案の検討
第11回 公権力の行使による責任
在宅投票制度廃止違憲訴訟(最判昭和60年11月21日民集39巻7号1512頁)
第12回 規制権限不行使
京都宅建業者事件(最判平成元年11月24日民集43巻10号1169頁)
第13回 営造物の設置管理の瑕疵による責任
多摩川水害訴訟(最判平成2年12月13日民集44巻9号1186頁)
第14回 損失補償
関西電力変電所予定地収用事件(最判平成14年6月11日民集56巻5号958頁)
第15回 国家賠償の谷間
東京予防接種禍訴訟(東京高判平成4年12月18日判時1445号3頁)
<後期>
 後期はゼミ論文を執筆します。自分の興味・関心に応じて様々な情報源を利用して調査を行い、自分なりの解決策をまとめていく過程で、この授業の目的である諸能力の涵養を図りたいと思います。テーマの選択については、行政法演習のホームページ(http://quris.law.kyushu-u.ac.jp/~ohashisemi/)が参考になります。
授業の進め方
 担当者がテーマについて報告を行い、それを素材に参加者全員で議論します。前期はグループごとの報告、後期は個人での報告を予定しています。
 その他、受講者の希望に応じて、ゼミ合宿、裁判の傍聴、行政機関の見学などを行うことも考えています。
教科書・参考書等
 前期については、行政法全般に関する基本書として、稲葉馨=人見剛=村上裕章=前田雅子・行政法(有斐閣、2007年)、塩野宏・行政法T[第5版]・U[第4版](有斐閣、2009年、2005年)を、判例については、小早川光郎=宇賀克也=交告尚史編・行政判例百選T・U[第5版](有斐閣、2006年)を挙げておきます。その他の文献については、初回の授業で詳しく説明します。
成績評価の方法・基準
 演習における報告と、年度末に作成するゼミ論集に掲載する論文により評価します。無断欠席した場合には、以降の演習への出席は認めず、単位を認定しません。
その他(質問・相談方法等)
 原田大樹准教授は、前期は在外研究中のため、後期から出席します(前期もネット等を通して可能な限り参加します)。また、後期には、社会保障法に関連するテーマを中心として、笠木映里准教授に特別参加していただくことも考えています。
 大学時代の4年間は人生の中で最も能力が伸びる時期の一つです。ゼミ論文を執筆するためにはそれなりの努力が必要ですが、書き上げることによって確実にパワー・アップすることができます。大学生活で何かを達成したいと望んでいる意欲的な学生の参加を期待しています。
過去の授業評価アンケート