憲法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
憲法演習
標準年次
3・4
講義題目
公法学の課題と展望
開講学期
通 年
担当教員
村西 良太
単位数
4単位
教  室
305
科目区分
展開科目
履修条件
・このゼミでは、下記の「授業の目的」を達成するために、毎回おおくの資料を熟読したうえで参加してもらうことになります。そうした事前準備に労力をいとわず、かつ、ゼミでの議論に積極的に参加しようという意欲的な学生を求めます。

・憲法学や行政法学に関心をもち、相応の意欲をそなえていれば、現時点での能力如何は問いません。

・ゼミで重点的に取り上げてみたいテーマを少なくとも1つくらいは考えておいてください(志望理由書に書いておいてください)。
授業の目的
学説や判例をそれとして「覚える」ことが、このゼミの目的ではありません。むしろそれらの批判的な検討を通じて、自身の見解をできるだけ分かりやすく、かつ説得的に展開するスキルを身につけてもらいたいと考えています。

そのために、(1)専門的な論文を「精読」する力、(2)自身の問題意識や見解を相互に披瀝しながら、これを磨きあげてゆく力(すなわち「議論」する力)、(3)そのようにして徐々に形成されてきた自説を読み手に伝わるように活字化する力、以上3つの能力を高めることがこのゼミの目的です。
授業の概要・計画
前期は教員がいくつかの論点を提示し、その中から各自関心のあるテーマを選んで報告してもらいます。詳細については、2月(定期試験終了後)に参加予定者と相談のうえ決定したいと思いますが、現在のところ次のような構想を描いています。

まず前半の7〜8回は、公法上の重要な論点を含む最近の判例を取り上げ、精査したいと思います。
最もあたらしい素材としては、非嫡出子の相続分差別に関する最二決平成21年9月30日、参議院選挙の定数不均衡をめぐる最大判平成21年9月30日、地方議会議員の解職請求における公務員の資格制限が争われた最大判平成21年11月18日等を考えています。
また、「最新の」素材というわけではありませんが、衆議院選挙の定数不均衡をめぐる最大判平成19年6月13日、在外日本人の投票権が問題となった最大判平成17年9月14日、国籍法の違憲性が争われた最大判平成20年6月4日等も候補となるでしょう。

後半の7〜8回は、上記判例研究においてとくに論争の的となった諸点につき、今度は学説を中心に検討したいと思います。憲法学の文献を読み込むのはもちろんですが、テーマによっては、行政法の学説をあわせて参照することにより、いっそう深い考察に挑戦してみましょう(このような考慮から、憲法学と行政法学の双方の守備範囲にまたがるテーマを積極的に取り上げるつもりです)。

なお、関心のある判例およびテーマがあれば、演習参加申込書に付記しておいてください(既述)。また、授業開始前に連絡をとる可能性があるので、演習参加申込書にはメールアドレスも付記してもらえると助かります。


後期は、ゼミ論文集の作成を最終目標として、各自の構想報告を中心に進めたいと考えています。テーマの選定、文献の読み方、細部にわたる表現の仕方など、可能なかぎり丁寧な指導に努めるつもりです。詳細については、ゼミにおいて詳しく説明(または参加者と相談)します。
授業の進め方
ゼミ生による報告および討論、というオーソドックスな形式によります。具体的には次のとおりです。

・ゼミ生の数にもよりますが、原則として各回に1〜3名ずつ報告を割り当てます。担当者はレジュメを作成し、それに基づいてプレゼンテーションをおこなってください。なお、レジュメは報告の1週間前のゼミにおいて、全員に配布してください。

・報告担当者以外の学生も、レジュメおよびそこで引用されている文献のなかでとくに重要なもの(場合によっては、教員が配布する文献)を事前に読んで、ゼミに出席してください。討論においては、各人かならず1度くらいは発言するように努めましょう。なお、司会進行もゼミ生に割り当てます。

なお、ゼミは正規の時間を超えてしばしば延長しますので、そのつもりで参加されてください。
教科書・参考書等
講義レベルの基礎的な知識に不安のある人は、春休みのあいだにいくつか定評のある体系書を通読しておくとよいでしょう。

また、ゼミで取り上げたいテーマを探すという意味では、大石眞=石川健治編『憲法の争点』(有斐閣・2008年)が有益かもしれません。

上述のように、このゼミでは「論文の精読」を重視します。各回にどのような論文を取り上げるか、原則として報告者に委ねますが、有益と思われる論文を教員が紹介・配布することもあります。
成績評価の方法・基準
毎回の出席が大前提です。無断欠席は認められません。

報告の内容、討論への参加状況、ゼミ論文等を総合的に考慮します。
その他(質問・相談方法等)
・ゼミの諸活動および個別の指導を充実させるために、ゼミ生の人数は最大でも15名程度とする予定です。

・勉強以外の面でも、積極的に相互の親睦を図っていきたいと考えています。ゼミコンパ、ゼミ旅行、ゼミ合宿など、皆さんの希望に沿って企画しましょう。けっして楽ではないけれど、明るく楽しい雰囲気のなかで(教員も含めて)お互いの能力を高めあえるゼミにしたいと願っています。

・このゼミは、教員自身の都合により、2011年度以降は開講されません。新3年生は4年次においてゼミを移ることになるので、あらかじめご了承ください。

・その他、分からないことがあれば、メールで尋ねるか、研究室に直接お越しください。
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