政治学演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
政治学演習
標準年次
3・4
講義題目
地域・自治体から見る「政治」の変容
開講学期
通 年
担当教員
出水 薫
単位数
4単位
教  室
207
科目区分
展開科目
履修条件
※参加申込書の「志望理由」により、実質的な選抜をおこないます。参加希望者のみなさんは、以下のシラバス全体を細部まで読み込んだ上で、志望理由を書いてください。

(1)「問題」を欲している方、あるいは「問題」を適切に「かたち」にできるようになりたいという意欲をもっている方。

(2)言葉の力を向上させたいという意欲を持っている方。

(3)問題の「現場」を「楽し」める方(現場には厳しい現状と、どうしようもない無力感と、しかし魅力的な人々との出会いがあります)。

(4)ゼミ履修上の「義務」を果たそうと誠実に努力する方。※私たちのゼミは、正規のゼミの時間以外の活動も、結構あります。

(5)サブ・ゼミ参加歓迎です。毎年、1〜2名はサブ・ゼミ参加者です。もちろん法律系ゼミとのかけもちも歓迎します。09年度は2名が法律系ゼミとのかけもちでした。

(6)過去2年間と同様に、月例で弁護士のみなさんと社会問題についての調査・討議・合宿などをおこないます。法曹志望の方、大歓迎です。
※面白いことに、ロースクール合格者がいます(笑)。

(7)2010年度は、私が関わっている自治体(福岡県、筑紫野市、飯塚市、直方市など)を中心に、その職員や住民のみなさんと一緒に調査や合宿をおこなう予定です。自治体職員志望の方、大歓迎です。
※09年度卒業生をはじめ、卒業生には自治体職員がいます。

(8)2010年度から、ゼミ論文に替えて、映像作品(ゼミ・ドキュメンタリー)でも単位を認定することにしました。ゼミの保有するビデオ・カメラ、デジタル・カメラ、パソコンをなどを撮影や編集に貸与します。また合同ゼミで協力関係にある西南大の田村ゼミによる上映・講演会企画に参加します。その関係で、作家・評論家や映画監督と会うことができます。マスコミやアート系に興味のある方、大歓迎です。
※09年度も含めて卒業生にはマスコミ・出版の就職者がいます。

(8)単位はいらないけれど参加したいという方、大歓迎です。例年1〜3名は単位のいらない参加者です。
※09年度は、某放送局のアナウンサーの方が参加していました(笑)。
授業の目的
(1)「政治」と聞いて、多くのみなさんは、政治家・政党・国会・内閣などを思い浮かべると思います。政治とは政府をめぐるできごとだという「予断」、すなわち「国家と社会」モデルが当然の前提とされているのは、「国民国家」の「国民」として、私たちが規律・形成されてきたからだと言えるでしょう。

(2)しかしグローバル化は、一方で国境を超えるやりとりによって、他方で、そのようなやりとりがもたらす「現場(ローカル)」の変容によって、国民国家を揺るがしています。したがって私たちは、国家と社会という二元論モデルを前提に「政治」を政府(国家)に囲い込むのではなく、「社会の政治」をも視野に入れて、「政府の政治」を再構成する必要に迫られています。

(3)この演習では上記のような認識を前提に、現代の日本における「政府の政治」と「社会の政治」の現状を、地域・自治体の政治過程において検討します。抽象度の高い理論的テキストを読むと同時に、具体的な事例に着目したテキストも併読することで、複数の領域の間、具体と抽象の間を往復する力をつけてもらいます。

(4)ゼミではテキストの輪読と討議、現地調査・合宿を通じて検討していきます。そしてその過程で、報告・司会・討論・聞き取り調査・文書報告の作成など、職業生活でも必要になる「汎用的」な技術を向上させます。
授業の概要・計画
書をもって街(現場)に出る、これが基本的に私たちのゼミのやり方です。

通常のゼミ(年間に10冊程度のテキストを読破)の他に、毎月最初のゼミでの書評会(最低5冊の読書リストとお薦め1冊の紹介)、1年間に3〜4回程度のゼミ論構想発表会などをおこない、さらに月例の弁護士・福岡県下の他大学学生との学習会をやって、それらの合間に現地調査・合宿をおこなうのが、私たちのゼミの「活動量」です。

2010年度は、下記のような現地調査・合宿を計画しています。
※なお08年度より、私たちのゼミも参加する5大学合同ゼミは、文部科学省の教育GPに指定され、補助金をもらえるようになったため、現地調査・合宿の参加個人負担は、2泊3日の場合でも3〜4千円以内に抑えられる見込みです。

(1)現地調査とゼミ論構想発表会をかねた合宿を2回。
(2)弁護士と社会調査をかねた合宿を1回。
(3)12月に恒例の5大学合同ゼミ(ホスト校、熊大)。
(4)3月にゼミ論合評合宿。
 
※5大学合同ゼミの雰囲気を知りたい方は以下のブログを参照してください。
  http://blog.goo.ne.jp/5daigaku

※上記の「公式」のゼミ現地調査・合宿とは別に、毎年、有志の企画による韓国旅行(すべて込みで2泊3日、3万円超の費用!)がおこなわれてきました。

2010年度は、ゼミ単独開設10周年です。例年おこなわれている同窓会ゼミをバージョンアップし、卒業生を交えた記念企画をおこなう予定です。
授業の進め方
(1)授業の内容はテキストの輪読・討論と、現地調査の実施と討論の二つに大きく分けられます。

(2)通常の授業では、司会者の進行により、テキストを利用して報告者が報告(レジュメ準備)し、それにもとづいて討議します。

(3)現地調査・合宿は、その都度に幹事を決定し、幹事を中心に約束のとりつけ、宿所の確保などをおこない実施します。

(4)以上の活動に織り交ぜて、ゼミ論作成のための討議もおこないます。ゼミ活動の集大成は、全員が提出するゼミ論文(もしくはゼミ・ドキュメンタリー)です。
教科書・参考書等
テキストは、参加者みなさんの希望も聞きながら、柔軟に選びたいと考えています。
今のところ予定しているテキストは以下のとおりです。
※単行本は2回、新書や文庫は1回で読みます。なお最初は「入門」ということで、私が担当する1年生ゼミのテキストを読みます。

入門編
(A)藤原保信『自由主義の再検討』岩波新書
(B)竹沢尚一郎『社会とは何か』中公新書
(C)金子勝『閉塞経済』ちくま新書
(D)広井良典『コミュニティを問いなおす』ちくま新書
本編
(1)市野川・小森編『崩れゆく世界と時代の課題』岩波書店
(2)セネット『不安な経済/漂流する個人』大月書店
(3)バウマン『リキッド・モダニティ』大月書店
(4)ベック『グローバル化の社会学』国文社
(5)広井良典『持続可能な福祉社会』ちくま新書
(6)バウマン『コミュニティ』筑摩書房
(7)宮本太郎『生活保障』岩波新書
(8)松原隆一郎『分断される経済』NHKブックス
(9)神野直彦『地域再生の経済学』
成績評価の方法・基準
(1)ゼミ論文(1万字以上):40点
年に3回ほどゼミ論文構想検討会をおこないます。また原則として10月締め切りの『学生法政論集』に応募してもらい、それを元にゼミ論を完成してもらいます。
※2010年度からゼミ論文に替えて、ゼミ・ドキュメンタリー(15分以上30分以内の映像作品)を提出することもできます。

(2)ゼミでの報告:40点
ゼミでおこなった報告の内容を総合して判断します。

(3)書評会での発表:20点
毎月1回の書評会で、5冊以上の「ノルマ」が達成されているかを基準にします。

※無断欠席と無断遅刻は、大幅に減点します。欠席や遅刻は、原則として前日までにメーリングリストで届けなければなりません。
その他(質問・相談方法等)
(1)ゼミの相談はメーリングリストでもおこないます。参加者は携帯以外のメールアドレスを持ってもらう必要があります。

(2)授業時間の「延長」が恒例になっていますので、ゼミの後の時間に授業やバイトがない方が良さそうです。
過去の授業評価アンケート