知的財産法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
知的財産法演習
標準年次
3・4
講義題目
知的財産法の現代的諸相
開講学期
通 年
担当教員
小島・寺本 (小島 立・寺本振透)
単位数
4単位
教  室
305
科目区分
展開科目
履修条件
積極性溢れる受講者の参加を希望します。知的財産法に関する講義を履修済みか,あるいは演習と並行して履修していただきたいと思います。
授業の目的
法的思考能力を養うことに加え,@自分の力で報告に必要な文献資料を見つけ出し,Aそれらを適切に理解した上で報告内容をまとめ,B限られた時間内において人前で説得的に発表する力を高めることも,本ゼミを通じて追求して下さい。

この「情報収集能力」,「内容構成能力」,「プレゼンテーション能力」は,皆さんが将来,社会に出て,いかなる職業に就いた際にも必ず要求されます。
授業の概要・計画
1.概要

本演習では,知的財産法の重要論点を検討します。2名の担当教員のうち,前期は小島,後期は寺本(2010年4月着任予定)が中心に指導を行うというスタイルをとります(ゼミには2名とも常に参加します)。

2.前期

前期は,特許法・著作権法の基本的論点を中心に,主に重要判例の検討(場合によっては論文の講読)を行ないます。

3.後期

後期は,前期の学習を踏まえ,知的財産法の現代的論点について掘り下げて研究します。その際のテーマ選択は,受講者の皆さんと相談の上で決定したいと思います。

知的財産法の現代的論点は,隣接法領域(民法,行政法,民事手続法,労働法,独禁法,国際私法など)と何らかの形で接点を有する問題ばかりです。その分析を通じ,知的財産法の有する「広がり」と「深み」を体感していただきたいと考えています。

2009年度後期は,

@ 国際知的財産紛争の判例分析(著作権侵害の国際裁判管轄(ウルトラマン事件),特許権侵害の準拠法(カードリーダー事件),不正競争の準拠法(サンゴ砂事件)の3件)
A 「制度論」に基づく著作権制度の分析(英語論文の日本語訳講読)
B 「著作権と表現の自由」についての検討(担当教員(小島)の学会報告ペーパーの批判的考察)
C 商標法の判例研究(商標登録における公序良俗の機能(北海道新聞社事件),立体商標の法的保護(ひよこ立体商標事件)の2件)
D WinnyやYoutube,ニコニコ動画等についての著作権法的考察

といった内容を扱いました。
授業の進め方
1.概要

毎回,少数の判例や論文を掘り下げて検討します。受講者と相談の上,事前に,主として扱う判例や論文,参考判例,参考文献等を決定します。

演習の進め方ですが,報告者(人数は参加者によります)に報告をしていただき,それに引き続き全員で議論します。報告者は,指定された判例(最高裁判決を検討するのであれば,その下級審も当然含まれます)や論文等はもちろんのこと,それ以外に報告に必要と思われる参考判例,判例評釈,関連する論文等を自分の力で選択・収集し,報告準備をすることが求められます。

そして,議論が充実したものとなるために,参加者全員が目を通すべき文献についても事前に指示して下さい。

2.報告の進め方

報告の進め方ですが,「判例評釈」や「書評」のスタイルを参考にしていただきたいと思います。つまり,課題として扱う当該判例や論文の意義,従前の判例・学説との関係,当該判例や論文の論理の内在的検討,そして当該判例や論文の残された課題等について,多角的な観点からの目配りを行なっていただきたいということです。

3.司会者の選定

本演習においては,報告者,そして議論の司会者に進行をお願いします(担当教員が喋る機会が少なければ少ないほど,ゼミとしては成功しているという考えからです)。

司会者は,どのように誘導すればディスカッションが盛り上がるのか(実り多いものとなるのか)ということに常に意を用いる必要があります。もっとも,学生が「徹底的に問い詰め,また,問い詰められる」という経験を多くはしていないだろうという現状に鑑み,教員が,教育的見地から強力な介入を行うことがあり得ることは御覚悟願わなければなりません。

全体の内容を適切に把握する必要性があるということから,ある意味では報告よりも難しい作業かもしれませんが,是非とも積極的にチャレンジしていただきたいと思います(この司会者としての能力は,意外に思われるかもしれませんが,社会に出た際にも必ず問われます)。

4.議論の進め方

報告を行なわない参加者も,予め指定された判例や論文,参考文献等を必ず予習し,主体的・積極的に議論に加わって下さい。

報告者,参加者双方とも,指定された判例や論文の内容を鵜呑みにせず,関連判例や参考文献等を参照しながら,批判的な態度で検討・議論に参加することを期待します。
教科書・参考書等
知的財産法の知識に乏しいという方は,演習開講前に,中山信弘『マルチメディアと著作権』(岩波新書(赤426),1996年)に目を通しておいて下さい(この本は,知的財産法の最良の入門書ですので,購入を強くお勧め致します)。

また,知的財産法の判例を調べる際に便利なものとして,大渕哲也ほか『知的財産法判例集』(有斐閣,2005年),小泉直樹ほか『ケースブック知的財産法〔第2版〕』(弘文堂,2008年)を挙げておきます。

それ以外の参考文献は,演習開講時に追ってご紹介します。
成績評価の方法・基準
成績評価は,平常点(出席状況,報告内容,議論への参加態度等)によります。
その他(質問・相談方法等)
毎回,報告と議論に,それぞれ45〜60分程度を考えています。参加者の積極的な議論を期待しますので,時間延長もあり得ます(午後7時頃に終了することも珍しくありません)。

また,コンパや合宿など,ゼミの時間以外の活動も積極的に行なえれば,と思っています。

本演習に関して不明な点があれば,小島(kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)まで,ご遠慮なくお尋ね下さい。
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